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よくあるDX課題7選|DX推進の現状と解決策をご紹介!

目次

日本の企業が直面しているDXの課題は、その成長の大きな足かせとなっています。

ただ、DXの課題を乗り越えるためには、明確な目的設定、適切な人材の確保と育成、レガシーシステムへの対応など、総合的な戦略が必要です。放置すれば、企業は競争力を失い、市場から取り残される可能性があります。DXを怠ることは、将来的に企業の存続自体を危うくするリスクをはらんでいるものだとも言えます。

そこで、本記事では、日本のDX推進の現状と課題、そして解決するための具体的な手法を解説します。

「DX化を進めたいが、どこから手をつけていいのかわからない」という方に役立つ記事となっているため、ぜひ最後までご一読ください。

日本におけるのDX取り組み現状

DX推進の経営課題を理解するためには、日本企業のDXに対する取り組みの現状を把握することが重要です。2018年に経済産業省がDX推進のガイドラインを策定して以来、DXはビジネス界で注目される施策となりました。しかし、現在の状況を見ると、日本企業のDXへの取り組みは積極的とは言い難いです。

2021年に総務省が実施した「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」によれば、日本企業の約6割がDX推進に消極的であることが示されています。業種別の詳細な集計結果は以下の通りです。

2018年度以前2019年度2020年度今後検討今後予定なし
製造業15.7%3.7%3.4%20.0%57.2%
情報通信業30.5%7.2%7.3%18.6%36.4%
エネルギー・インフラ14.8%3.9%3.9%18.6%58.8%
商業・流通業16.8%3.4%4.3%18.9%56.5%
サービス業9.6%3.1%3.1%14.9%69.3%

出典:総務省「令和3年度版 情報通信白書|我が国におけるデジタル化の取り組み状況」をもとに作成

情報通信業では、2018年度以前から約3割の企業がDXに取り組んでいました。しかし、他の業種では取り組んでいた企業は15%程度に過ぎません。特に、サービス業や農業・林業・漁業、医療・福祉などの業種では、今後もDXに取り組む予定がない企業が多く見られます。医療・福祉分野では、2018年度以前からDXを推進している企業の割合は5.4%に過ぎず、今後も取り組む予定がない企業の割合は78.7%に達しています。

このように、業種によってDX推進の取り組みに大きな差異があり、情報通信業を除くほとんどの業種でDXに取り組む計画が立てられていないのが現状です。

なぜDX化が進まないのか

では、なぜ日本ではDX化が進まないのでしょうか。以下に分けて、その原因を解説します。

  1. 経営戦略の不明確さ
  2. DX人材の不足
  3. デジタルリテラシーが不十分
  4. 既存システムの課題
  5. ユーザー企業とベンダー企業の関係
  6. 予算面での課題
  7. 組織・文化的課題

1.経営戦略の不明確さ

多くの企業がDXを推進する上で躓いている背後には、経営戦略の不明確さが大きな要因として存在しています。

一般社団法人日本能率協会 KAIKA 研究所の調査によれば、ビジョンや経営戦略、ロードマップが不明瞭な企業が6割強にのぼるというデータがあります。

DX推進の課題おおいに課題である課題であるやや課題であるあまり課題ではない課題ではないまったく課題ではない無回答
DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない6.8%30.8%28.6%17.9%12.4%1.3%2.1%
DXに向けた方針が役員や経営幹部に共有されていない3.0%14.5%28.2%29.9%17.9%4.3%2.1%
具体的な事業への展開が進まない3.4%21.8%41.9%20.5%9.4%0.4%2.6%
経営資源の投入が十分にできていない4.7%25.2%31.2%22.2%12.8%1.7%2.1%
社内関係部署の連携が十分にできていない2.1%21.4%39.3%25.6%8.5%0.9%2.1%
社外関係者との連携が十分にできていない1.3%15.0%30.3%36.3%13.7%1.3%2.1%
DX推進に関わる人材が不足している20.1%41.0%27.4%4.7%3.0%0.9%3.0%

出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2021」をもとに作成

つまり、DXを進める上で最も基本となる経営戦略が、多くの企業で不透明なままであるという状況だということです。さらに、DXに向けた方針が役員や経営幹部に共有されていないという問題も指摘されています。

結果として、組織全体でのDXの意義や目的が共有されず、具体的な事業への展開も進まないケースが生じています。

2.DX人材の不足

次に、日本におけるDX推進の足かせとなっているのが、DX人材の不足です。

日本企業は人材育成への投資が不十分であり、デジタル化に対応するためには既存の社員が新しいスキルを身につけるリスキリングが不可欠です。しかし、経済産業省の報告によると、日本企業はリスキリングへの投資を積極的に行っていないことが指摘されています。一方、海外の多くの国では企業が人材育成に積極的に取り組んでおり、その差は歴然としています。

人材投資の国際比較と自己啓発を行っていない人の割合

出典:経済産業省「デジタル人材育成プラットフォームの取組状況について」より

この状況を改善するためには、日本企業もリスキリングへの投資を強化し、社員のデジタルスキル向上に努める必要があります。

3.デジタルリテラシーが不十分

DX化が進まない要因の一つに、デジタルリテラシーの不足があります。

総務省の調査によると、デジタル化が進まない理由として「利用者のリテラシーが不足している」という回答が44.2%を占めており、これは非常に高い割合です。

この調査結果から、多くの人がデジタルリテラシーの不足を感じており、それがデジタル化推進の障害になっていることがわかります。特に、青少年を含む幅広い世代でICTリテラシーが不足していることが問題です。例えば、高等学校1年生を対象としたインターネット上のリスクに関するテストでは、正答率が6〜7割程度にとどまっており、リテラシーが十分とは言えない状況です。

4.既存システムの課題

次に、日本の企業におけるレガシーシステムの状況を見てみましょう。

既にレガシーシステムはない (%)一部領域にレガシーシステムが残っている (%)半分程度がレガシーシステムである (%)ほとんどがレガシーシステムである (%)わからない (%)
日本(n=542)18.58.240.812.422.0
日本(DX取組あり、n=376)21.823.65.219.222.3
日本(DX取組なし、n=157)12.717.628.237.57.6
米国(n=386)41.512.210.115.323.3

出典:IPA「DX白書2023」をもとに作成

「DX白書2023」によると、日本では企業の41.2%が「半分程度がレガシーシステムである」または「ほとんどがレガシーシステムである」と回答しています。

これに対して米国ではその割合が22.8%に過ぎません。この数字から、日本企業がレガシーシステムの刷新に著しく遅れていることがうかがえます。レガシーシステムの問題点は、新しい技術やビジネスニーズに対応できないことにあります。

結果、企業のイノベーションや効率化が阻害され、最終的には国際競争力の低下につながる恐れがあります。

5.ユーザー企業とベンダー企業の関係

DXが進まない背景には、ユーザー企業とベンダー企業の間に存在する「低位安定」関係が大きく影響しています。

低位安定の関係とは、

  • ユーザー企業:ITコスト削減を重視しすぎて、IT対応能力の育成が不足。これにより、ITシステムがブラックボックス化し、ベンダーロックインが発生。経営のアジリティも低下。
  • ベンダー企業:低リスクでビジネスを運営し、労働量に対する対価に満足。結果として、生産性向上のインセンティブが弱く、技術開発投資が進まない。

この相互依存関係が、DXの推進を妨げる要因となっています。

6.予算面での課題

多くの企業でDX化が進まない一因として、予算面での課題が挙げられます。DX推進には、「現状ビジネスの維持・運用」と「サービスの創造・革新」という2つの側面があり、予算配分が企業のデジタル化の進行度を左右します。現状ビジネスの維持・運用のための予算は、既存ビジネスの効率化や維持を目的とした投資で、「守りのIT投資」と言われています。

一方で、サービスの創造・革新のための予算とは、新たなビジネスモデルの創出や新サービスの開発に向けた投資を指し、企業の成長を促すためには不可欠です。この投資は「攻めのIT投資」と言われています。

年度別IT予算の配分の割合

出典:JUAS「企業IT動向調査報告書 2022」をもとに作成

JUAS企業IT動向調査報告書2022の調査結果より、日本の企業がデジタル投資を行う際は、既存ビジネスの効率化に重点を置く傾向が強いということがわかります。

7.組織・文化的課題

組織・文化的課題としてあげられるのは以下の3つです。

  • 組織体制や業務プロセスの変革が進まない
  • 変化への抵抗がある
  • 事業部門との連携が進まない

多くの企業では、既存の組織体制や業務プロセスが固着化し、変革が難しい状況です。DXを成功させるには、組織全体が新しいテクノロジーを受け入れ、業務プロセスを再設計する必要がありますが、部門間の壁や縦割りの組織構造が障害となり、変革が進まないことが多いです。

また、変化への抵抗が根強い組織文化もDX推進の障害です。従業員が慣れた業務手順を変更することへの不安や抵抗が見られ、特に日本特有の年功序列や終身雇用の文化が変化を嫌う風土を助長しています。

さらに、DXを効果的に進めるには、IT部門と事業部門の連携が不可欠です。しかし、これらの部門間の連携が不足しているため、技術導入が進んでも事業部門がその価値を理解せず、DXの取り組みが部分的にしか進まないことがあります。

課題への解決策

ここまでお伝えしたDXの課題に対する解決策を、以下の5つに分けて紹介します。

  1. 目的を明確化する
  2. 人材の確保/育成を行う
  3. レガシーシステムへの対応
  4. ITリテラシーを身につける
  5. 攻めのIT投資を行う

1.目的を明確化する

DXの成功には、「何をしたいのか」を明確に定義することが不可欠です。目的が曖昧だと、投資の方向性がぼやけ、リソースの無駄遣いにつながります。目的を明確にすることで、導入すべき技術や改善すべきプロセス、必要なスキルが見えてきます。

また、優先順位を決める際にも役立ちます。DXは多岐にわたるため、全てを一度に改革しようとするとリソースが分散し効果が薄れがちです。最もインパクトの大きい改革から順に取り組むことが重要で、目的が明確であれば効果的な改革を判断しやすくなります。

2.人材の確保・育成を行う

DX推進に関わる人材不足は非常に深刻であり、企業の20.1%が「おおいに課題である」と回答しています。(参照:前項・「経営戦略の不明確さ」より)

この人材不足を解消するためには、人材の確保と育成が必要です。人材を確保するうえであげられるのが外部委託と社内育成です。

以下、簡潔にそれぞれのメリットデメリットをまとめてみました。

メリットデメリット
外部委託短期間で高いスキルを持った人材を確保可能社内のノウハウが外部に流出の可能性社内にDXのノウハウがたまらない可能性
社内育成社内の文化やビジネスプロセスにあったDXの推進が可能長期的な視点でDXを促進可能育成に多大な時間がかかるノウハウがないと育成が困難

さらに、新たな人材の雇用も検討する必要があります。それぞれの方法には一長一短があるため、自社の状況に合わせた最適な人材確保・育成戦略を立てるようにしましょう。

人材育成に関する記事はこちら!(サイト外リンク)

3.レガシーシステムへの対応

DXの取り組みが進む中、多くの企業が直面する大きな課題の1つがレガシーシステムへの対応です。レガシーシステムは、長年にわたって蓄積されたビジネスの知見やデータを内包しているため、単純に新しいシステムへの置き換えはリスクが伴います。

そこで重要となるのが、モダナイゼーションとマイグレーションの戦略的な活用です。モダナイゼーションとマイグレーションは、それぞれ異なるアプローチを持ちながらも、レガシーシステムの課題に対する解決策として相互補完的な関係にあります。

意味
モダナイゼーション既存のシステムを現代の技術や要件に合わせて更新することクラウドコンピューティングの活用により、リソースの柔軟なスケーリングやコスト削減
マイグレーションデータや機能を保持したまま新たなシステムへと移行するプロセスのこと古いシステムから重複や不要なデータを整理し、新しいシステムに移すことでデータの整合性を保つ

企業がDXを成功させるためには、2つの手法を適切に組み合わせ、計画的に実行することが不可欠です。

4.ITリテラシーを身につける

DXの実現には、従業員のITリテラシーの向上が必要不可欠です。

まず、ITリテラシーを高める学習方法としては、オンラインコースや書籍の活用が挙げられます。いずれも自宅やオフィス等、時間や場所にとらわれることなく学習することに適しています。

企業が従業員のスキルアップを支援するためには、社内研修を設けることも効果的です。研修プログラムでは、基本的なITスキルから始め、実践的な形式で学習できる研修が望ましいです。

5.攻めのIT投資を行う

最後に、DX課題を乗り越えるために必要なことが、攻めのIT投資をすることです。

「攻めのIT投資」とは、単に既存の業務プロセスを効率化する「守りのIT投資」とは異なり、新たなビジネスモデルの創出や新サービスの開発に向けた投資のことを指します。

具体例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 市場や顧客の変化に迅速に対応するためのシステム導入
  • 新技術や新サービスの利用
  • ITを駆使したビジネスモデルの変革
  • 製品やサービス開発の強化
  • 市場分析の精度向上
  • 事業内容や製品ラインの拡大

DXを成功させるためには、AIやビッグデータを活用し、製品やサービス、ビジネスモデルを根本的に変革することが求められます。

いずれも上記のような攻めのIT投資に該当し、企業が新しい価値を創出し、市場での優位性を確立するためには不可欠です。

業種別DX課題の解決事例

DXは目的達成のための手段であり、目的そのものではありません。経済産業省の資料から得られる情報によれば、DXが適切なのは特定の課題に対処するためです。業種によって異なりますが、以下はいくつかの業種での具体的な事例です。

製造業におけるDXの事例

課題解決
IT人材不足・DX教育を行って継続的に運用
生産管理と製造現場の連携不足・生産管理と製造現場の共通プラットフォームによるデータ連係を行い、ムダのない発注管理・在庫管理が可能に
映像現場・管理職の属人化・製造ラインの目視検査工程でAIを導入、自動検査が可能に・属人化した分析フローを変革、データドリブン型分析に変更し生産性および品質が向上。たとえば、熟練作業員と新人作業員の技術の差を可視化するシステムを構築。低評価のステップは集中的に訓練するなど、新人作業員は効率的に技能を習得できるように

出典:経済産業省「製造業DX取組事例集」より

製造業における主な課題は、先端IT人材の不足と製造現場と生産管理の自動化です。また、「データドリブン」アプローチが注目されており、これはデータに基づいて意思決定を行うことを指します。IoT機器の普及によりデータ収集能力が向上し、ビッグデータの解析が可能になったことで、マーケティング技術も発展しています。製造現場では、従来暗黙知とされていた技術をデータ化し、可視化することで、技術習得の効率化や育成の注力ポイントが明確になりました。

農業におけるDXの事例

課題解決
現場の人材不足・ひとつひとつの作業にかかっている時間を可視化することで、適正人数で作業を進められるように・作業内容や作業箇所がモバイル端末で伝えられるので、未経験者でもすぐに作業にかかれるようになった
労働価値の低下・可視化でわかった労力と収益が見合わない作業を取りやめ。付加価値のある加工品開発に注力して労働価値を向上

出典:経済産業省「製造業DX取組事例集」より

農業分野でも、一部でDX化が進んでいます。ある果樹園では、アプリケーションの導入により「生産性」を可視化しました。果樹1本1本にQRコードを紐づけ、作業内容や時間、担当者情報などをサーバー上で管理することで、作業全体のイメージや進捗状況を把握できるようにしました。これにより、重複作業などのロスをなくし、人材不足の解消につなげています。

また、可視化により費用対効果の低い着色作業を廃止し、代わりに形や色味の問われない加工品開発に取り組むなど、労働価値の向上も目指しています。

医薬・医療におけるDXの事例

課題解決
IT人材不足・DX人材を体系的に育成する仕組みを構築し、データサイエンティストをはじめとした社内人材を育成・外部企業サポートにより人材補充、人材育成・新事業の共創パートナーを社内外から探索する仕組みを構築し、マッチング精度向上
アイデア実現までのスピード不足・デジタル観点での新たなアイデアを3カ月でPoC実施にまで持っていくための仕組みを構築・トライアンドエラーを奨励し、失敗が許容される風土を形成
データ活用不足・大容量データを安全に利用、異動、保管するためのクラウド基盤を構築し、全社データ利活用を推進
創薬プロセスの非効率・AIやロボティクスなどを活用して、創薬プロセスの最適化、創薬成功確率向上を目指す

出典:経済産業省「製造業DX取組事例集」より

新型コロナウイルスの影響により、健康意識が以前より高まり、ヘルスケア領域での競争が激化しています。新たなプレイヤーが市場に参入しているため、革新的なアイデアを早期にPoC(実証実験)に移行させる必要性が高まっています。このケースでは、アイデアをPoCに迅速に移行させるために、デジタル基盤の強化に取り組んでいます。フローの短縮や効率化だけでなく、組織風土の変革にも着手しており、まさに「基盤のDX」と呼ぶべき取り組みです。

通信業におけるDXの具体例

課題解決
DX人材、専門人材不足・人材の育成を目的とした人材育成機関を設立・新事業立ち上げに向けて、専門人材の育成や広い領域での人材獲得
データ分析環境の不整備によるコスト増・ビッグデータ分析環境の構築技術を標準化、大幅なコスト削減を実現

出典:経済産業省「製造業DX取組事例集」より

次に通信業のDXの事例です。この業界では、デジタル化が急速に進展しており、課題も高度です。通信の安全性や安定性を確保しつつ、通信やネットワークという特性と密接に関連させながら、社会的な新たな価値を生み出す必要があります。

DX推進の課題を解消した事例

ここからは、DX推進の課題を解消した事例を、以下の2つに分けて紹介します。

  • トヨタ自動車
  • キリンビール

トヨタ自動車

DX課題を解決した事例の2つ目が、トヨタ自動車です。自動車業界が大変革期を迎える中で、トヨタはこれまでの経験に依存する代わりに、データ駆動型のアプローチを採用しています。具体的には、材料解析のためのクラウドサービス「WAVEBASE」を開発しました。

データを蓄積できるデータベースを構築し、従来人間が感覚的に捉えていた材料の特性を定量的なデータに変換、機械学習による解析が可能になったのです。

この事例から学ぶべきは、DXを推進する際には、既存の業務プロセスを見直し、データを活用することで、従来にない価値を生み出すことが可能であるという点です。

また、オープンイノベーションの精神で技術を共有し、業界全体の発展に寄与する姿、DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けている点も、他の業界におけるDX推進のモデルケースとして参考になるでしょう。

キリンビール

次のDX課題の解決事例が、キリンビールです。キリンビールが直面していたのは、市場の変化への迅速な対応と、安定した供給体制の構築という、多くの企業が抱える共通の課題でした。

この課題を解決するために、キリンビールは2021年4月、SCM部を新設し、需給業務のDXを推進する「MJプロジェクト」をスタートさせています。特に注目すべきは、キリンビールがDXを進める中で取り組んだ具体的なアプリケーションの開発です。

2022年12月にはブレインパッドと共同で「資材需給管理アプリ」を運用開始し、需給管理の精度を向上しています。その後、2023年7月には「製造計画作成アプリ」の運用を開始することで、製造プロセスの最適化と迅速な意思決定も実現しました。

この事例から学ぶべきは、DXの推進においては、ただ技術を導入するだけではなく、それをビジネスプロセスにどう組み込み、経済的・社会的価値をどのように創出するかが重要だということです。実際、目的意識を持ちながら、具体的な課題解決のためのツールを開発し、運用することでDXを成功に導いています。

この事例から、DX推進における戦略的なアプローチと、具体的な目標設定の重要性を学び取ることのできる好例と言えるでしょう。

DX推進ならワクフリにご相談

DX推進は、「2025年の崖」と呼ばれるITシステムの問題と、人手不足による労働市場の変化へ対応するためにも急務です。この課題に対処するため、目標の設定、人材育成、レガシーシステムの更新、ITリテラシーの向上、そして戦略的なIT投資が必要です。

しかし、その実践にあたり、多くの企業が直面するのは、明確な戦略設定の策定方法や推進のための人材不足といった課題です。

当社ワクフリでは、このような問題を解決するために、貴社内にDX推進チームを設置し、チームの一員としてDX推進をサポートいたします。

DX推進を検討し、課題への解決策は理解したものの、人材リソース不足や、技術面で懸念がある企業様はぜひ、支援実績900社超のワクフリにお気軽にご相談ください。

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