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DX投資促進税制でデジタル化を加速!企業が得られるメリットとは

目次

DXの重要性を理解していても、具体的な取り組みや投資への不安を感じる企業は少なくありません。政府のDX投資促進税制は、デジタル化にかかる一部費用を税制面で支援し、企業のDX推進を後押しします。

ただし、この税制を活用するには特定の要件を満たす必要があり、適切な準備や計画がないと恩恵を受けられない可能性もあります。本記事では、DX投資促進税制の概要、認定要件、具体的内容、そしてその活用方法について詳しく解説します。

DX投資促進税制とは

DX投資促進税制は、企業のDX推進を支援する税制優遇措置です。デジタル技術を活用した製品開発や業務改善、ビジネスモデル変革への投資に対し、法人税の軽減や特別償却が適用されます。この制度は、企業のDX投資を促し、日本企業の競争力と生産性向上を目指しています。

DX投資促進税制の具体的な内容

DX投資促進税制では、認定を受けた事業適応計画に基づいてDX関連の設備投資を行った場合、法人税の優遇措置を受けることができます。具体的には、以下の2つの選択肢が用意されています。

  1. 対象設備の取得価額の30%を特別償却
  2. 対象設備の取得価額の3%または5%を税額控除

この優遇措置により、企業はDX投資に伴う初期コストを軽減できます。また、DX投資促進税制は、財政面での支援を通じて、事業モデルの抜本的な変革を促す戦略的な制度でもあります。

DX投資促進税制の認定要件

出典:経済産業省「DX投資促進税制の見直し」より

DX投資促進税制を効果的に活用するには、デジタル要件(D要件)、企業変革要件(X要件)、対象資産(設備)、期日などの認定要件を満たす必要があります。これらの要件は、企業のデジタル化と事業変革を確実にするために設定されています。

デジタル要件(D要件)

デジタル要件(D要件)は、企業におけるデジタル化の基盤を確立するための条件です。主な要件は以下のとおりです。

  • システムやデータベース間でのスムーズなデータ連携が可能であること
  • クラウド技術を活用すること
  • 情報処理推進機構(IPA)による「DX認定」の取得(2022年12月1日以降にDX認定の取得・更新を実施していること)
  • デジタル人材の育成・確保の取り組みであること

さらに、情報処理推進機構(IPA)による「DX認定」の取得によって、企業のDX推進の準備が整っていることを客観的に示さなくてはなりません。

企業変革要件(X要件)

企業変革要件(X要件)は、DXによる企業の本質的な変革を促すための条件です。主な要件は、以下に記すとおりです。

  • 全社的な意思決定に基づく取り組みであること
  • DX投資によって全社レベルでの売上増加が期待されること
  • 成長性のある海外市場の開拓を目指すこと
  • 新商品・新サービスに係る一事業年度の売上高が、比較対象期間(おおよそコロナ禍前5事業年度)における全事業の売上高の平均値の10%以上であること(新需要開拓、売上高要件)
  • 新商品・新サービスに係る一事業年度の海外売上高比率が、基準値とされる割合以上であること(前向きな取組、海外売上高要件)

DXが単なるコスト削減ではなく、新たな価値創造や収益向上につながることが求められ、成長性のある海外市場の開拓を目指すことも要件の1つです。

対象資産(設備)

DX投資促進税制の対象となる資産(設備)は、企業のデジタル化を直接的に支援するものに限定されています。

  • ソフトウェア
  • 器具備品
  • 機械装置
  • 繰延資産(クラウドシステムへの移行に係る初期費用等)

ただし、既存システムの更新やデジタル化と無関係な設備投資は対象外です。判断基準は、導入資産がDX推進の明確な目的を持ち、企業の変革に貢献し、DX戦略と密接に結びついているかどうかです。

期日

DX投資促進税制を使うための期日は、企業が迅速にDXに取り組むことを促すために設定されています。

  • 2023年3月31日までに事業適応計画を認定申請すること
  • 2025年3月31日までに認定を受けた計画にしたがって設備投資を行うこと

2024年現在、DX投資促進税制の新規申請は終了していますが、認定済みの企業は2025年3月31日までに設備投資を完了すれば税制措置が適用されます。今後、類似の新制度が導入される可能性もあるため、最新情報の確認をおすすめします。

DX投資促進税制の恩恵を受けるためのステップ

出典:経済産業省「DX投資促進税制の見直し」より

DX投資促進税制を効果的に活用するには、5つの主要なステップを順に進める必要があります。各ステップを丁寧に実行することで、DX推進と税制優遇の両立が可能です。ただし、2024年現在、新規申請はできませんのでご注意ください。

1:DX投資促進税制の詳細と自社の現状確認

まずは制度を理解し、自社の状況を正確に把握することが重要です。経済産業省のWebサイトや専門家の解説を参考に、税制の内容や認定要件を調査し、自社のDX進捗や課題、ビジョンを明確にします。これにより、取り組むべき課題や必要な投資が明確になります。

2:DX認定の申請・取得

DX認定は、デジタル技術を活用して企業変革に取り組む事業者を国が認定する制度です。DX投資促進税制を利用するには、2022年12月1日以降に取得または更新されたDX認定が必要です。

申請には、自社のDX推進に関する計画書の作成が求められ、DX推進体制、データの利活用方針、サイバーセキュリティ対策などを詳細に記載します。申請書類は経済産業省に提出し、審査を経て認定を受けてください。

3:「事業適応計画」の作成・承認

DX認定取得後、2023年3月31日までに「事業適応計画」の作成と承認が必要です。この計画は、DX投資を通じて自社の事業をどのように変革し、生産性を向上させるかを具体的に示すものです。

「事業適応計画」には以下の項目を詳細に記載します。

  • 投資の内容
  • 期待される効果
  • 実施スケジュール
  • 新たなビジネスモデル
  • 業務プロセスの改革

作成した計画は主務大臣(多くの場合、経済産業大臣)に提出し、承認を受けます。なお、報告は毎事業年度行う必要がありますが、目標達成後は不要になります。

4:DX資産の取得と税務申告

事業適応計画が承認されたら、実際にDX資産を取得し、税務申告を行います。DX資産とは、承認された計画に基づいて取得するソフトウェア、器具備品、機械装置などです。資産取得後、確定申告の際に必要な書類を提出して税制優遇を受けます。

5:「実施状況報告書」の提出

最後のステップは、「実施状況報告書」の提出です。この報告書には、以下の内容を記載します。

  • DX投資の進捗状況
  • 投資による効果
  • 今後の展望
  • 当初計画と実際の成果の比較

承認された事業適応計画の実施状況を報告するもので、計画の承認を受けた事業年度終了後、原則として2か月以内に提出する必要があります。

DX投資促進税制以外の優遇措置や補助金

DX投資促進税制は魅力的ですが、現在は利用できません。しかし、税制以外にも企業のデジタル化を支援する優遇措置や補助金が多数存在します。ここでは、IT導入補助金、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、サイバーセキュリティ対策促進助成金について詳しく紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のデジタル化を支援する制度です。経営課題解決のためのITツール導入を財政的にサポートし、業務効率化や売上向上を促進します。主に5つの枠に分かれており、各企業の目的に応じて申請できます。

補助金額対象
通常枠5万円以上450万円以下業務効率化・売上アップのためのITツール導入
インボイス枠(インボイス対応類型)50万円以下、または50万円超〜350万円以下インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフト等
インボイス枠(電子取引類型)〜350万円以下インボイス制度対応の受発注システム
セキュリティ対策推進枠5万円以上100万円以下サイバーセキュリティ対策のITツール
複数社連携IT導入枠〜3000万円以下複数社連携でのITツール導入

出典:「IT導入補助金2024」より

このIT導入補助金の申請プロセスは、主に以下のとおりです。

  1. 「gBizIDプライム」アカウントの取得
  2. 「SECURITYACTION」宣言の実施
  3. ITツールの選定
  4. 交付申請
  5. 導入
  6. 実績報告

「みらデジ経営チェック」を利用して自社の課題を把握し、最適なITツールを選ぶことも可能です。IT導入補助金は中小企業のDX推進に大きく貢献し、自社の状況に応じて適切に活用することで、デジタル化による競争力強化が図れます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

中小企業の競争力強化を目指す「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、生産性向上や新製品・サービス開発に挑戦する中小企業・小規模事業者を対象とした補助金です。

項目詳細
補助金額100万円〜最大8,000万円(申請枠による)
補助率1/2〜2/3(小規模事業者等は2/3)
申請枠省力化、製品・サービス高付加価値化、グローバル
要件3〜5年計画で付加価値額年平均3%以上増加など

補助対象経費には、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費などが含まれます。申請はGビズIDを用いた電子システムで行い、採択後は事業完了から5年間の報告義務があります。DXやGXなどの成長分野への投資を重視しつつ、人手不足対策や海外展開支援など、幅広い取り組みをサポートする制度として利用できます。

サイバーセキュリティ対策促進助成金

東京都中小企業振興公社が提供するサイバーセキュリティ対策促進助成金は、都内中小企業のデジタルセキュリティ強化を支援する制度です。この助成金は、企業の機密情報や顧客データを守るための設備投資を後押しし、ビジネスの安全性向上に貢献します。

項目内容
対象IPAのSECURITY ACTION二つ星宣言企業
助成率対象経費の1/2以内
助成上限額1,500万円(下限10万円)
対象経費UTM、ファイアウォール、ウイルス対策ソフト等

申請にはネットクラブ会員登録と電子申請システム「Jグランツ」を利用します。年3回の申請機会があり、各回には期間が設定されています。情報セキュリティ基本方針の策定が難しい企業向けには専門家派遣サービスがあり、SECURITY ACTIONの二つ星宣言もスムーズに行えます。サイバーセキュリティ対策促進助成金は中小企業のDX推進におけるセキュリティ投資を支援し、DXと投資を両立させたい企業にとって有益な制度です。

参考:東京都中小企業振興公社「サイバーセキュリティ対策促進助成金」より

まとめ

DX投資促進税制は、上手に使うことで、企業は税制優遇を受けながら、競争力強化と生産性向上を実現できます。ただし、2024年の現時点では利用できません。IT導入補助金やものづくり補助金、サイバーセキュリティ対策促進助成金など、他の支援制度も併せて上手に使うことで、より包括的なDX推進を目指してください。

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