DXリテラシー標準とは|活用イメージやメリットとともに解説!
目次
DXを実現するためには、従業員1人ひとりがデジタル技術に対する理解と活用能力、すなわち「DXリテラシー」を高めることが不可欠です。
このDXリテラシーにおいて必要となる知識・スキルを定義したものがDXリテラシー標準です。
本記事では、DXリテラシー標準とは何か、そして社内でDXリテラシーを高めるための具体的な方法について解説します。
また、社内の業務効率化、生産性の向上、経費の削減、働き方の多様化、そしてイノベーションの促進にどのように貢献できるのかにも触れるため、DX推進を検討中の企業様はぜひ参考にしてください。
DXリテラシー標準とは?
1.DXリテラシー標準の定義
「DXリテラシー標準」は、すべてのビジネスパーソンに向けた指針及びそれに応じた学習項目例を定義しています。
具体的には、以下の指針とそれに伴う学習項目を示しています。
- DXに関するリテラシーとして身につけるべき知識の学習の指針
- 個人が自身の行動を振り返るための指針かつ、組織・企業が構成員に求める意識・姿勢・行動を検討する指針
出典:経済産業省「デジタルスキル標準」より
「DXリテラシー標準」は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力とスキルを明確に示しています。
またこの標準は、個々のビジネスパーソンがDXに関するリテラシーを習得し、自らが関わることを肯定的に捉え、変革に積極的に取り組むことを促すために定義されました。
以下は、DXに関するリテラシーを身につけた人材のイメージです。
出典:経済産業省「デジタルスキル標準」をもとに作成
2.ITリテラシーとDXリテラシーの違い
ITリテラシーとDXリテラシーは、多くの人に混同されやすい概念です。
ITリテラシーは、コンピュータやインターネットなどの情報技術を効果的に使用するための基本的なスキルや知識を指します。
一方、DXリテラシーは、ITスキルを活用して、組織のデジタル変革を推進するための能力を意味します。
つまり、DXリテラシーはITリテラシーを基盤としつつ、ビジネスや組織の変革に応用するための総合的な理解とスキルが求められます。
3.DXリテラシー標準とデジタルスキル標準の違い
デジタルスキル標準とは、経産省とIPAがDX推進における人材の重要性を踏まえ、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針を定義したものです。
デジタルスキル標準は、「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」の2つから構成されています。
出典:経済産業省「デジタルスキル標準」より
前項で解説した通り、DXリテラシー標準は、DXに関する基礎的な知識やスキルを身につけるための指針で、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルを定義しています。
一方で、DX推進スキル標準は、企業がDXを推進するために必要なスキルを持った人材を育成するための指針で、DXを推進する人材類型の役割や必要なスキルを定義しています。
DXリテラシー標準の4つの項目
出典:経済産業省「デジタルスキル標準ver.1.1」2023年8月より
DXリテラシー標準の全体像として、以下の4つの項目で定義されています。
- マインドスタンス
- WHY|DXの背景
- WHAT|DXで活用されるデータ技術
- HOW|データ・技術の利活用
DX リテラシー標準の項目を一部ご紹介いたします。
大項目 | 項目 | 学習ゴール |
マインド・スタンス | 変化への適応コラボレーション顧客・ユーザーへの共感常識にとらわれない発想反復的なアプローチ柔軟な意思決定事実に基づく判断 | 社会の変化の中で新たな価値を創造するために必要なマインドセットを理解し、自身の行動を反省すること。 |
WHY | 社会の変化顧客価値の変化競争環境の変化 | 社会や経済の変化を把握し、DXの重要性を理解していること。 |
WHAT(データ) | 社会におけるデータデータを読む・説明するデータを扱うデータによって判断する | DX推進のためのデータやデジタル技術に関する知識を持つこと。 |
WHAT(デジタル技術) | AIクラウドハードウェアとソフトウェアネットワーク | |
HOW | データ・デジタル技術の活用事例ツール利用セキュリティモラルコンプライアンス | データやデジタル技術の活用事例を理解し、基本的なツールの使い方を身につけ、業務での活用を図ること。 |
出典:経済産業省「デジタルスキル標準ver.1.1」2023年8月をもとに作成
より詳しい内容を知りたい方は、「デジタルスキル標準ver.1.1」をご参考ください。
DXリテラシー標準の活用イメージ
経済産業省の資料を参考に、DXリテラシー標準の活用イメージを個人と企業に分けて解説します。
ゴールに向けた活用イメージとは、前項で記した学習ゴールを達成するための活用イメージです。
個人の活用イメージ
個人における活用イメージは下表のとおりです。
項目 | ゴールに向けた活用イメージ |
マインドセット | 社会の変化を把握し、それが自身や所属する組織の生活にどのような影響を与えるかを考える。 |
WHY | データやデジタル技術の基礎を学び、日常的に使用しているデータやツールの背後にある技術を理解する。 |
WHAT | 適切なツールを状況に応じて選択し、使用方法や注意点を学ぶことで、効果的に活用する。 |
HOW | 必要なマインドセットを把握し、自分の日常の行動や態度を振り返る。 |
一つ例を挙げると、
「自分が所属する組織や企業、あるいは自身の仕事やビジネスにおいて重視されるマインドセットや具体的な行動パターンを理解し、日々の行動や態度を見直す」
といった活用方法が考えられます。
企業の活用イメージ
企業における活用イメージは下表のとおりです。
項目 | ゴールに向けた活用イメージ |
マインドセット | 自社の環境変化を踏まえて、DXの必要性や方針を明確にする。 |
WHY | 社員に重要なデータやデジタル技術に関する情報や学びの機会を提供する。 |
WHAT | 社員に、自社内でのデータや技術の活用事例や方針、ツールの使い方、および留意点について情報を伝える。 |
HOW | 自社が新しい価値を創造するために重要なマインドセットを特定し、それを社内に浸透させる方法を検討する。 |
一つ例を挙げると、
「DXリテラシー標準に記されているマインドセットを参照し、自社の組織や人材が既に有するスキルや、今後強化すべきスキルを明確に特定していく」
といった活用方法が考えられます。
DXリテラシー標準に沿った活用メリット
実際にDXリテラシー標準を活用した場合、どのような学習効果が得られるのかは、着手前の段階ではイメージしにくいと思います。
よって、経済産業省の資料をもとに期待される学習効果について、個人による効果と企業・組織による効果を解説します。
個人によるメリット
個人で得られるメリットは、主に以下の2つです。
- DXに対するアンテナを広げることができる
- DXへの知識を広げることができる
アンテナを広げることで、 DXリテラシー標準の内容を身につけることにとどまらず、日々生まれている新たな関連項目・キーワードにも興味を向けることができるようになります。
DXリテラシー標準の内容を起点として、日々生まれる新たな技術・言葉の内容や意味を自ら調べる姿勢が身につきます。
以上のようなメリットを受けることで、実際にアクセス可能な技術やツールに触れ、自身の業務での活用方法を考え、実践できるようになります。
企業・組織によるメリット
DXに関するリテラシーを身につけ、DXへのアンテナを広げた人材が増えることで、企業全体のDX推進を加速することができます。
出典:経済産業省「デジタルスキル標準」より
加速するまでのプロセスは以下の通りです。
- 経営層が社会やビジネス環境の変化に有益な技術や考え方を把握することで、それをもとに自社のDX戦略を考え、社員に示すことができるようになります。
- 事業や業務に関する知見のある人材がDXに関するリテラシーを身につけ、DXへの関心を高めることで、企業や組織におけるDXの可能性を発見します。
また、DXに関する専門性が高い人材との協働を促進し、企業・組織としてのDX推進が容易になります。
- 企業や組織内のさまざまな年代、階層、職種の人材がDXに関する知識やスキルを習得することで、DXを推進する過程で生じる変化に対する受け入れや適応能力が向上します。
DXリテラシーを向上させるには?
「DXリテラシー標準」は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力とスキルを明確に示しており、自らが関わることを肯定的に捉え、変革に積極的に取り組むことを促すために定義されています。
DXリテラシー標準に沿って学習を進め、社内全体でDXリテラシーを身につけるようにしましょう。
しかし、多くの企業は従業員がDXリテラシーを習得しても、実務担当者の人材不足や人件費の高騰により、DX推進に十分なリソースを割くことが難しいという課題もあります。
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