リスキリングとは?|DXで求められる理由と導入ポイントを解説!
目次
企業のDX推進に伴い、デジタル人材の確保と育成が重要です。中でもリスキリングが注目されていますが、リスキリングとは何か、なぜ重要なのか、どのように導入すべきかが分からない方も多いでしょう。今回は、リスキリングの必要性や具体的な取り組み方法、その効果について解説します。自社のビジネス知識とデジタル技術スキルを持つ人材を育成する際の参考にしてください。
リスキリングの概要
リスキリングとは
リスキリングとは、新しいスキルを習得したり、既存のスキルを向上させたりして、変化する仕事環境や技術の進歩に適応することです。経済産業省は「現在の職業能力や知識を再編成・再教育し、新たな職種や業務に適応するためのスキルを獲得すること」と定義しています。
急速に変化するビジネス環境で、従業員のリテラシーを更新し、企業の競争力を維持・向上させることはDXの重要な戦略です。特に、デジタル技術の進化に伴い、若年層の情報教育だけでなく、現役ビジネスパーソンのリスキリングも不可欠です。
既存の知識を基盤に、新たな技術やトレンドに適応するスキルを習得することで、個人と組織の両方に価値をもたらします。これは単なるスキルアップではなく、キャリアの再構築と企業の持続可能な成長を実現するために重要です。
リスキリングの必要性
DXの推進によって、企業は深刻なデジタル人材不足に直面しており、リスキリングが重要な戦略としてその必要性を高めています。リスキリングに取り組むことで、企業は自社のビジネス知識と最新のデジタル技術スキルを兼ね備えた人材を効率的に育成できます。
さらに、リスキリングは第4次産業革命がもたらす急速な技術革新にも対応する手段です。従業員の継続的な学び直しを促進することで、企業は変化の激しいビジネス環境で競争力を維持し、成長を加速させることができるのです。
リスキリングの取り組み状況
リスキリングの取り組み状況は、個人と企業で大きな差が見られます。ビズリーチの調査では、会員の67.6%は自己啓発の一環としてリスキリングに取り組んでいるという結果がある一方、企業側の取り組みに目を向けると26.3%にとどまっています。
特に企業規模による差は顕著で、従業員5,000名以上の大企業では48.9%が実施しているのに対し、50名未満の小規模企業では12.2%に過ぎません。
注目すべきは、95.0%のビジネスパーソンが将来的に新たなスキル習得の必要性を感じている点です。企業が求めるITスキルの上位には「プロジェクトマネジメント」「データ解析・分析」「セキュリティ」が挙げられており、この分野でのリスキリングが急務となっています。
しかし、新たなスキルを習得した社員の活用に消極的な企業も多く、リスキリングの効果的な導入と活用が今後の課題となっています。
参考:67.6%の即戦力人材が「リスキリング」を実施 9割以上が、将来的にリスキリングの必要性を感じると回答
DXリスキリングの効果
DXにおいてリスキリングは、企業のデジタル化を加速させ、競争力を高める重要な施策です。従業員のスキルアップを通じて、業務効率化と人材育成の両面で大きな効果をもたらします。
業務効率化への貢献
DXでのリスキリングを通じて従業員が新しいデジタルスキルを習得することで、業務効率化に大きく貢献します。例えば、データ分析ツールの活用により、これまで手作業で行っていた集計作業が自動化され、作業時間が大幅に短縮されます。
また、クラウドサービスの理解が深まることで、チーム間のコラボレーションがスムーズになり、プロジェクトの進行速度も向上可能です。加えて、AIやRPAの基礎知識を得ることで、反復的な作業の自動化が進み、従業員はより創造的な業務に注力できます。
人材育成への貢献
DXにおけるリスキリングは、従業員のキャリア形成に大きなプラスとなり、組織全体の成長促進にもつながります。デジタル技術の習得により、従業員は新たな視点でビジネスを捉えられるようになり、革新的なアイデアが生まれやすくなるからです。
例えば、マーケティング部門の社員がデータ分析スキルを身につけることで、顧客ニーズをより深く理解し、効果的な戦略立案を可能にします。また、リスキリングを通じて従業員の市場価値が高まることで、モチベーション向上や離職率低下にも寄与するものです。
結果として、新規採用にかかるコストや労力を抑えられ、長期的な人材戦略の観点からも大きなメリットを得られます。
リスキリングの4ステップ
効果的なリスキリングを実現するには、以下の4つのステップを順を追って実施することが大切です。各ステップを丁寧に進めることで、従業員のスキルアップと企業の発展を同時に達成できます。
1.スキルと対象を定める
リスキリングの第一歩は、必要なスキルと対象となる従業員を明確に定めることです。自社が求める人材要件を満たす人材でなければ、採用しても意味がないからです。
まず、自社の事業戦略や市場動向を分析し、将来的に求められるスキルを特定します。同時に、全社的な取り組みとするため、人事部門と各事業部門が緊密に連携し、また企業の成長戦略に合致した人材要件を設定してください。
2.教育プログラムの思考
次のステップは、効果的な教育プログラムの設計です。実施時期は、業務の繁忙期を避け、従業員が集中して学習できる環境を整えます。
学習内容は、日々の業務内容から逆算して考えると、より実践的なプログラムを構築できます。
例えば、データ分析スキルが必要な部門では、実際の業務データを用いたケーススタディを取り入れるなど、具体的で即戦力となる知識習得を目指します。また、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型の学習方法も効果的です。
3.社外の専門組織を活用
リスキリング用のコンテンツを社内で1から開発するのは、時間とコストの面で非効率的です。専門性の高い社外組織や教育機関と連携するほうが、費用と時間の節約につながりやすくなります。
例えば、外部講師を招いてワークショップを開催することで、多様な学習機会を創出することが可能です。また、実践型の研修サービスを利用することで、社員は実際の業務環境に近い形でスキルを習得でき、シミュレーションやプロジェクトベースの学習を通じて、即戦力となるスキルを身に付けることができます。
4.社員の声を聴く
リスキリングを成功させるためにも、定期的なアンケートやフィードバックを通じて、プログラムの効果や改善点について従業員の声を直接聴くことも大切です。
例えば、学習内容の難易度、実務への適用のしやすさ、追加で学びたいトピックなどについて意見を収集します。この声を基に、プログラムを継続的に改善し、より効果的なリスキリングを実現します。
リスキリング導入ポイント
リスキリングは、従業員のスキルを最新のニーズに適応させることで、組織全体の生産性と革新性を高めることができます。以下では、効果的なリスキリング導入のために押さえたい3つの重要なポイントを詳しく解説します。
重要性を浸透させる
リスキリングを成功させるためにも、経営陣は必要性と利点を従業員に明確に伝え、組織全体で共通認識を形成します。そのためにも、定期的な社内セミナーやワークショップを開催し、業界動向や技術革新がもたらす変化について情報共有を行います。
また、リスキリングによって得られる個人のキャリア発展や会社の成長といったメリットを具体例とともに示すことで、社員のモチベーションを高めることも有効です。さらに、部門の横断的な情報共有を促進し、各部門の特性に合わせたリスキリング計画の策定と推進を行うことで、全社的な取り組みとして定着させることも大切です。
継続的に取り組みやすい環境を作る
リスキリングを一過性の取り組みではなく、継続できる組織文化の一部として根付かせるためには、学習を支援する環境づくりが必要です。まず、業務時間内に学習時間を確保できるよう、柔軟な勤務体制を導入します。
例えば、週に数時間のスキル開発時間を設けるなど、学習を業務の一部として位置づけます。また、オンライン学習プラットフォームの導入により、社員が自分のペースで学習を進められるようにすることも有効です。
社外のリソースを活用
デジタルスキルをはじめとする多くのリスキリング分野では、社内外で共通する知識やスキルが多く存在します。そのため、社外のリソースを効果的に活用したほうが、時間とコストを大幅に削減しやすくなります。
この際、業界をリードする企業や教育機関とのパートナーシップを構築し、最新の知識やベストプラクティスを取り入れることが有効です。さらに、業界団体や専門家コミュニティとの交流を通じて、最新のトレンドや技術動向をキャッチアップすることで、効率的かつ効果的なリスキリングプログラムを構築できます。
キャリアアップ支援事業
経済産業省が推進する「キャリアアップ支援事業」では、「キャリア相談対応」「リスキリング提供」「転職支援」の3つの柱を一体化させ、労働者のスキルアップと円滑な労働移動を同時に実現することを目指しています。
この支援事業は、企業にとって従業員の潜在能力を最大限に引き出し、組織全体の競争力を高める絶好の機会です。特に、デジタル化が進む現代において、この事業の活用によって、従業員のデジタルスキル向上や新たな職務への適応力を養うことができ、ビジネスの持続的成長につながります。
まとめ
リスキリングは、急速に進展するデジタル技術に対応するための不可欠な戦略です。企業はリスキリングを通じて従業員のデジタルスキルを強化し、業務効率化と人材育成を同時に実現しています。特にDX時代においては、リスキリングが企業の競争力強化に直結し、持続可能な成長を支える重要な要素となっています。
組織は明確な目標設定と適切な教育プログラムの設計を通じて、効果的なリスキリングを推進することが求められています。しかし、目標設定やKPI設定、社員に対する教育プログラムの設計を業務と並行して行うことは困難です。
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