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DX戦略を推進するには?|戦略方法や成功事例と合わせて解説!

目次

DXの重要性は理解していても、実際に取り組む際には多くの障壁が立ちはだかります。そのため、DX戦略を策定し、段階的に実行に移すことが、問題を克服して持続可能な成長を達成するために不可欠です。

しかし、DX戦略を誤って立てると、投資が無駄に終わるだけでなく、企業の将来性をも損なう可能性があります。

そこで、この記事では、DX戦略の概要から必要性、具体的な戦略、成功事例、さらには懸念点までを包括的に解説します。「業務効率化を図りたい」「競争力を高めたい」という方に役立つ記事となっているため、ぜひ最後までご一読ください。

DX戦略の概要

DX戦略とは、競争力の維持と強化を目指して課題を整理・解決し、DXを推進する戦略のことです。

経済産業省のデジタルガバナンスコード2.1では、DX戦略に関して以下のように触れています。

経営者が自社の理念やパーパス(存在意義)を明確にした上で、実現したい未来=経営ビジョン(5年後、10年後にどんな会社になっていたいか)をしっかりと描き、その実現に向けて関係者を巻き込みながら、現在の状況と目指すべき状況の差を埋めるために解決すべき課題を整理し、デジタル技術を活用しながらこれらの課題解決を通じて、ビジネスモデルや組織文化の変革に戦略的に取り組んでいくこと


参考:Digital Governance Code 2.1|経済産業省

戦略欠如がもたらす問題点

DXがビジネスの世界で重要性を増す中、企業がDX戦略を明確に持つことの必要性はますます高まっています。特に、社内でのDX推進の認識を強化することは、組織全体の変革を成功させるための鍵となります。

戦略がないと、

  1. 人材配置の不適合
  2. 業務設計の混乱
  3. KPIの設定不備
  4. DX認定が受けられない

といった問題が発生し、DX推進が進まない可能性があります。

1.人材配置の不適合

DXを推進するためには、デジタル技術に精通した専門人材が必要です。しかし、戦略がなければ、どの部門にどのスキルセットを持つ人材が必要なのかが明確になりません。結果として、適材適所の配置ができず、プロジェクトが停滞するリスクがあります。

2.業務設計の混乱

戦略が明確でないと、業務プロセスのデジタル化や改善の方向性が不明確になります。これにより、各部門が独自に異なる方針でDXを進めようとするため、全社的な統一感が失われ、業務が属人化する恐れがあります。

3.KPIの設定不備

成功を測定するためのKPI(重要業績評価指標)が設定されていないと、DXの進捗や効果を評価することができません。明確な戦略がなければ、どの指標を重視すべきか、どの程度の成果を期待するのかが不明瞭になり、結果としてDXの成果を正確に把握することができません。

4.DX認定が受けられない

DXの重要性を公的に認め、企業のデジタル化を促進するために、日本ではDX認定制度が設けられています。この認定を受けるためには、DX戦略を策定し公表することが必須条件となっています。

DX認定を受けるためのプロセスは、以下のステップに沿って進められます。

  1. 「経営ビジョン」を策定する
  2. 「DX戦略」を策定する
  3. 「DX戦略」の達成度を測る指標を決定する
  4. 経営者による「DX戦略」の推進状況等の対外発信を行う
  5. 「DX推進指標」等による自己分析を行い課題を把握する
  6. サイバーセキュリティ対策を推進する

DX認定は、企業がデジタル化への取り組みを加速させるための1つの指標となり得るものです。

このことからも、DX戦略の策定は不可欠だと言えます。

DX認定について詳しく記載している記事はこちら!

DX戦略推進の5ステップ

DXを実施する際には、企業の活動全般を根本から見直し、変革することが不可欠です。このためには、組織全体が協力して取り組むことが肝要です。

以下では、DX戦略を推進するための一般的な手順を紹介します。

  1. ビジョンの策定
  2. 取組領域の策定
  3. 社内体制の整備
  4. 推進プロセスの策定
  5. 成果評価と戦略の見直し

1. ビジョンの策定

DX戦略の立案は、最初に達成すべきビジョンを確立することから始まります。この段階では、企業がDXによって何を達成し、どのような経営成果を追求するのかを明確にする必要があります。

また、デジタル技術をどのように活用して新たな企業価値を創造するのかを具体的に描くことも不可欠です。

2. 取組領域の策定

次に、DXを展開する領域とその中での具体的な取り組みを明確に定義します。

これには、企業の既存のビジネスプロセスやサービス・製品などを再評価し、どの部分をデジタル化するか、新たなビジネスを開発するかなどを含みます。前段階で設定したビジョンや目標があれば、それを実現するために適した部門を選択し、取り組みの方向性を明確にします。

DXのステップは一般的に3つに分類されます。

デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの説明
DXのステップ意味
デジタイゼーションアナログデータをデジタルデータに変換
デジタライゼーションデジタル技術を用いて、新たな価値や利益を創出
デジタルトランスフォーメーション仮想世界と物理世界を融合し、新たなビジネスモデルの構築や業界そのものを変革

3. 社内体制の整備

ビジョンを定め、取り組み領域を策定したら、社内体制の整備に移ります。戦略が定まっても、DXを進める際に必要な人材が不足していれば、取り組みは難航するでしょう。特に、IT人材はどの企業も不足しているため、中途採用を行うことはかなり難しいです。

実際、下図の「職種別 doda転職求人倍率の推移」を見てもわかるように、エンジニア(IT・通信)の求人倍率は年々右肩上がりで人材獲得競争が激化していることが読み取れます。

転職求人倍率の推移

出典:doda「転職求人倍率レポート(2024年2月)」より

そのため、自社だけで賄えきれない場合は、外部委託することがおすすめです。プロの企業は、DXの実績が豊富であり、DXに関する深い知識を持っているため、DXを迅速かつ効果的に推進できるでしょう。

4. 推進プロセスの策定

ビジョンと取り組み領域が明確になると、それらを達成するための具体的な推進プロセスを策定しましょう。

推進プロセスでは、以下のことを策定しましょう。

  • プロジェクトの優先順位
  • 目標期限
  • 責任者の明確化

ビジネスプロセスのデジタル化が不十分であれば、これらの取り組みから着手することも検討されます。短期的な対応と中長期的な対応の両面を考慮することが肝要です。

5. 成果評価と戦略の見直し

最後に、策定した戦略とプロセスに基づいてDXを展開し、その成果を評価します。この評価結果を元に、戦略やリソースの配分を見直し、必要に応じてビジョンも再評価します。この評価と見直しのフェーズがDX戦略のPDCAサイクルを構成し、持続的なDX推進の鍵となります。

DXの推進度合を評価する際には、効果の判断やKPIの設定が難しいと感じることがよくあります。このような課題に対処するために、経済産業省が提供する「DX推進指標」を活用することが重要です。

これにより、評価基準を明確にし、DXの進捗を定点的に評価することが可能となります。さらに、この指標を基に、戦略の改善点を特定し、リソース配分を最適化することで、DXの取り組みを持続的に進化させることができます。

DX戦略の3つのポイント

ここからは、DX戦略を進めるポイントを以下に分けて解説します。

  1. 自社についての理解
  2. 一時的なものにとどめない
  3. スモールスタート

1.自社についての理解

DX戦略の過程で重要なのは、自社についての理解を深めて、長所と課題を明確に把握することです。長所を知ることで、どのようなデジタル技術を活用すれば競争力をさらに高められるかが見えてきます。

一方で、課題を把握することは、デジタル化を通じてどの問題を解決すべきか、またどのプロセスを改善すべきかを明確にするために不可欠です。

自社について理解する際にも、DX推進指標を用いて確認すると良いでしょう。DX推進指標は企業が自身のDX推進状況を客観的に評価できるため、効果的に使用しましょう。

DX推進指標について詳しく記載している記事はこちら!

2.一時的なものにとどめない

DXは、単なるツールの導入や個別業務の最適化に留まらず、企業の持続的な成長を支える経営戦略です。そのため、一度の取り組みではなく、継続的な検証と改善が必要です。

この実現には、組織全体がDXの理念を共有し、企業文化やマインドセットを変革する必要があります。デジタル活用の文化が浸透していない場合は、社内教育などを通じて変革を促進していくことも重要です。

3.スモールスタート

DXの過程では、大規模な投資やリスクを伴います。

しかし、全てを一気に変えようとするアプローチは、しばしば失敗に終わるリスクをはらむため、「スモールスタート」の考え方が重要な役割を担います。

スモールスタートは、まず小さな範囲で変革を始め、徐々に規模を拡大していくアプローチです。この方法は、大きなリスクを一度に背負うことなく、段階的に変革を進めることができるため、企業にとっては安全かつ効果的な戦略と言えます。

例えば、新しいシステムを導入する際に、まずは一部門やプロジェクトに限定して試行し、そこで得られた知見をもとに全社的な展開を図るのです。また、一度に大きな変化を迫られると、多くの人は不安や抵抗を感じますが、小さなステップであれば受け入れやすく、従業員一人ひとりが変革の一翼を担う意識を持ちやすくなります。

DXを成功させるためには、技術的な側面だけでなく、人的な側面も考慮する必要があります。「スモールスタート」は、その両方をバランスよく進めるための戦略として非常に有効です。

DX戦略の成功事例

最後に、DX戦略の成功事例として、900社以上の支援実績を持つワクフリの成功事例を2つ紹介します。

  • 伝統ある呉服事業の業務改革
  • dx研修が開く老舗貴金属

伝統ある呉服事業の業務改革

1つ目のDX戦略の成功事例が、伝統ある呉服事業の業務改革です。

ご依頼いただいた株式会社エムラ様は、創業から90年以上の歴史を持ち、地域に根差した信頼と実績がありますが、時代と共に業務の効率化を課題として挙げていました。特に、高齢の社員が多く、アナログな業務プロセスが主流だったため、デジタル化への転換も容易ではありません。

ワクフリはまず、エムラ様の現状を把握するために徹底したヒアリングを行い、業務改革の目的を明確化。その結果、ペーパーレス化と業務フローの見直しが必要であると判断し、kintoneに代わる新たなツールとして楽楽精算を導入しました。

その結果、経費申請から売掛管理までの業務が大幅に簡略化され、本社の負担を軽減。さらに、現場の社員に寄り添ったマニュアル作成とレクチャーを実施し、デジタルツールの定着を促進しています。

DX研修が開く老舗貴金属

2つ目のDX戦略における成功事例が、DX研修を実施した老舗貴金属、徳力本店様への支援です。

同社は300年以上の歴史を持つ貴金属メーカーとして、伝統を守りつつも、現代のニーズに応えるための業務改革が急務でした。すでに工場部門の業務課では、発送業務の効率化を目指し、業務の可視化を進めていましたが、社内だけでは限界を感じている状況です。

そこでワクフリにDX研修を実施し、工場部門の若手社員を中心にデジタル変革の理解を深める機会を設けました。研修では、部署を超えたディスカッションが行われ、業務改善に対する意識の改革を実施しています。

結果として、研修を通じて業務の進め方について考える文化が育ち、従来の方法から新しい業務スタイルへの移行も進んだ好例です。

DX戦略を推進するならワクフリ

DX戦略では、自社についての理解を深めること、目的や方向性を明確にすること、必要な人材の確保、そして「スモールスタート」の考え方が大切です。また、ビジョンや経営戦略の明確性の欠如や人材不足など、DX推進における懸念点の解決も求められるでしょう。

DXは大きな挑戦ですが、適切な戦略と取り組み方を理解し、行動に移すことで、企業は新たな価値を創出し、ビジネスの成長と持続的な競争力を確保するために欠かせません。

この点でワクフリが重視しているのは、単に最新のツールを導入することではなく、業務プロセス全体を見直し、最適な業務フローを共に検討・設計することです。

そのため、企業の特性とニーズを深く理解し、その上で最適な戦略策定を行い、効率よくDX戦略を推進することができます。また、DX化を進める際に具体的な業務改善からシステム導入、人材育成まで、DXの全領域での支援も実施しています。

これまでに900社以上の業務変革・DX支援を実施してきた実績をもとに、ご支援しておりますので、お気軽にご相談ください。

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