column コラム

2024.08.14

【DX活用事例】事例から見えてくるDX推進の成功要因とは？

企業のDX化は、激しい事業環境の変化に対応し、顧客や社会のニーズに基づいて変革を行うために不可欠です。しかし、どのように行えば良いのかイメージが湧きづらく、DXの具体的な取り組み方や成功事例を知りたいと考えている方も少なくありません。

そこで今回は、DXの活用における具体例と実際の活用事例を紹介します。また、DXを成功させるための要因にも触れるため、ぜひ参考にしてください。

DXの概要

はじめに、DXの定義、そして目的と効果の2つに分けて概要を簡単に説明しておきます。

DXの定義

DXとは、企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルやプロセス、組織文化などを変革し、競争力を高めていくことを指します。単なるIT化やデジタル化とは異なり、DXは企業の戦略的な取り組みであり、経営層のリーダーシップのもと、全社的な変革を推進することが求められます。

DXの目的と効果

DXの目的は、激しい事業環境の変化に対応し、顧客や社会のニーズに基づいて変革を行うことにあります。その結果で得られる主な効果は、以下のとおりです。

競合他社との差別化や競争優位性の確立
新たなビジネスモデルの創出
リスクマネジメントの強化
業務効率の向上とコスト削減
人材の創造性や生産性の向上

しかし、その実現には、経営層の強いコミットメントと、全社的な意識改革が不可欠です。デジタル人材の育成や、外部パートナーとの協業など、様々な課題に取り組む必要があります。

DX活用の具体例

ここからは、課題に取り組み実際にDXを活用した以下3つの具体例を紹介します。

業務効率化
顧客体験の向上
マーケティングの強化

1．業務効率化

DXを活用した業務効率化の具体例には、業務のデジタル化と自動化があります。紙ベースの書類をデジタル化し、クラウドで管理することで、情報の検索や共有が容易になり、業務効率が向上します。AIやRPAを導入すると、定型作業の自動化が可能になり、人的ミスを減らし、処理速度を上げることができます。

クラウドベースのデータ管理により、リアルタイムでの意思決定が可能になり、ビジネスの俊敏性が向上します。AI分析で顧客行動を予測し、パーソナライズされたサービスを提供することで、顧客満足度も向上します。

さらに、テレワークの実現もDXの一環です。クラウドサービスやWeb会議ツールの活用で、柔軟な働き方が可能となり、従業員のワークライフバランスが改善され、生産性が向上します。

2．顧客体験の向上

DXを活用した顧客体験の向上例として、パーソナライズされたサービス提供があります。AIで顧客データを分析し、個々のニーズに合った提案を行うことで、満足度を高めます。例えば、オンラインショップでのおすすめ商品提示やチャットボットによる迅速なカスタマーサポートが挙げられます。

また、IoT技術でリアルタイムに顧客の行動を把握し、最適なサービスを提供することで利便性を向上させます。これにより、顧客一人ひとりに合った価値提供が可能となり、全体的な顧客体験の向上に繋がります。

3．マーケティングの強化

DXを活用したマーケティングの強化の1つが、消費者行動の分析やデータ活用による顧客管理の自動化です。ECサイトでは、ユーザーの閲覧・購買履歴を分析することで、個々のユーザーの興味・関心を把握し、最適な商品レコメンドを行うことができます。

また、CRMシステムの導入によって顧客情報を一元管理し、最適なメールを自動配信したり、SNSでの顧客の反応を自動で分析したりすることで、効率的かつ効果的なマーケティング活動が可能です。

業種別DX活用事例4選！

DXは目的達成のための手段であり、目的そのものではありません。経済産業省の資料によれば、DXは特定の課題に対処するために適切です。以下に、各業種での具体的なDX活用事例を紹介します。

1．製造業におけるDX活用事例

課題	解決策
生産管理と製造現場の連携不足	生産管理と製造現場の共通プラットフォーム導入によるデータ連携、ムダのない発注管理・在庫管理の実現
現場・管理職の属人化	AIを用いた製造ラインの目視検査工程の自動化、データドリブン型分析の導入により生産性と品質の向上

出典：経済産業省「製造業DX取組事例集」より

2．農業におけるDX活用事例

課題	解決策
現場の人材不足	作業時間の可視化により適正人数での作業進行モバイル端末での作業内容伝達により未経験者でも迅速に作業開始
労働価値の低下	可視化に基づく労力と収益の見直し、付加価値のある加工品開発

出典：経済産業省「製造業DX取組事例集」より

3．医薬・医療におけるDX活用事例

課題	解決策
アイデア実現までのスピード不足	新たなアイデアを迅速にPoC実施に移行するための仕組み
データ活用不足	大容量データの安全な利用・保管のためのクラウド基盤構築
創薬プロセスの非効率	AIやロボティクスによる創薬プロセスの最適化

出典：経済産業省「製造業DX取組事例集」より

4．通信業におけるDX活用事例

課題	解決策
データ分析環境の不整備によるコスト増	ビッグデータ分析環境の構築技術の標準化によるコスト削減

出典：経済産業省「製造業DX取組事例集」より

DX推進の成功要因

導入・活用事例から見えてくるDX推進の成功要因には、以下の4つが挙げられます。

組織改革
業務効率化とリソースの最適化
人材育成
DX推進部門の設置

1．組織改革

DX推進の成功において、デジタル技術を活用したビジネスモデルの構築は、企業にとって大きな変革を意味します。この変革を実現するには、経営層のリーダーシップと意思決定がポイントを握ります。

経営層は、DXによってどのような未来を目指すのかというビジョンを明確に示す必要があります。そのビジョンを組織全体に浸透させ、社員1人ひとりがDXの意義を理解し、自分の役割を認識できるようにすることが大切です。

また、専門的な知識とスキルを持つ人材を確保し、適材適所に配置することが求められます。さらに、部門間の連携を強化し、全社一丸となってDXに取り組める環境を整えることが肝要です。

2．業務効率化とリソースの最適化

DX推進で成功の要因としてもう1つ挙げられるのは、デジタル技術の活用によって、これまで手作業で行っていた業務を自動化したり、ペーパーレス化を進めたりする業務効率化とリソースの最適化です。

AIの導入によって大量のデータを短時間で分析し意思決定に役立てる、クラウドシステムを活用して場所や時間に縛られずに業務を遂行するなどで生み出された時間やリソースを、より戦略的な取り組みに振り向けることができます。新たな商品やサービスの開発、顧客満足度の向上、新市場の開拓など、企業の成長に直結する活動に注力できるようになるのです。

3．人材育成

DXを成功へ導くにはデジタル技術に精通し、ビジネスの課題解決に役立てられる人材が求められます。しかし、現状では多くの企業でDX人材が不足しているのが実情であることから、社内での人材育成と外部からの採用の両輪が必要になります。

社内の人材育成では、デジタルスキルの習得を支援する研修プログラムの整備を実施し、単なる技術研修だけでなくデジタル技術をビジネスに活用する方法を学ぶ機会を設けることが重要です。また、外部からの採用では、魅力的な報酬額体系や働きやすい環境の整備も欠かせません。

4．DX推進部門の設置

DX推進部門を設け、各事業部門にDX人材を配置することで、全社一丸となってDXに取り組める体制を整えることができます。各事業部門の課題を把握してデジタル技術を活用した解決策を提案するほか、社内のDX人材の育成や、外部パートナーとの連携も推進部門の重要な役割です。

このように、各事業部門にDX人材を配置することで現場の課題に即したDXの取り組みが可能になり、事業部門とDX推進部門が緊密に連携することでスムーズな変革を実現できます。

まとめ

DXの活用事例として、業務効率化、顧客体験の向上、マーケティングの強化があります。また、成功の要因には、組織改革、業務効率化とリソースの最適化、人材育成、DX推進部門の設置が挙げられます。しかし、DXに関する具体的なアプローチや業務改善の方法は企業の業務や課題によって異なるため、何から始めればよいか悩む方も多いでしょう。