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県民サービスの向上に向けて、佐賀県庁が今取り組むデジタルツールによる業務改善

佐賀県庁 総務部行政デジタル推進課

佐賀県庁の、民間企業などにおけるいわゆる「情シス部門」に該当する業務を所管。
近年は、課名にあるとおり行政事務のデジタル化を推進するため、県庁内の行政事務におけるデジタルツールの活用促進・支援を行っている。

佐賀県庁の総務部行政デジタル推進課は、kintone導入をきっかけとした庁内業務の改善推進のため、業務改善ワークショップや、kintoneの操作研修、利活用相談会などを令和5年度に実施しました。

特に、業務改善ワークショップは、令和5年から部局全体でDXを推進している「健康福祉部」の業務改善にフォーカスし、研修後には様々な改善事例が生まれています。

そのパートナー事業者にワクフリが指名されました。

なぜ佐賀県庁において業務改善の推進が課題となっているのか、事業を実施された、同課主査の五反田さんと川﨑さん、そして係長の田久保さんにお話をうかがいました。

県庁内の業務改善を令和5年度からさらに推進

業務改善を進めてきた佐賀県庁では、令和3年度からノーコードツールの利用を開始。ツールの利活用が庁内で徐々に浸透し始めていました。

五反田

「令和3年度頃から県庁内の業務改善に力を入れていこうという動きが課内で生まれました。実際に令和3年度からノーコードツールを利用し始めており、少しずつデジタルツールの認知度が高まる中で、『kintoneも使ってみたい』という意見もいただいていました。

従前のセキュリティポリシーでは重要情報をクラウドへ保存することができなかったのですが、ポリシーの改訂により、kintoneのようなクラウドサービスを利用できる環境が整いました。

とは言え、kintoneが『便利なツールだから』導入するのではなく、『業務改善を進めるため』のkintone導入です。令和5年度にワクフリさんにサポートをお願いしたのも、単にツールの利活用を促進したいという目的ではなく、どうしたら行政事務の改善につなげることができるのか、これまで民間企業などに対し様々な業務改善の提案を行い、成功に導いてきたワクフリさんの実績などから、一緒に考えていただけると思ったからです。

業務改善を進めていったその先に、県民サービスの向上につながっていくと考えています。

今までは紙で提出するしかなかった書類を、24時間場所を問わずWebで提出できる。電子データで提出できるようにすることで、音声入力などの入力方法が多様化するなど、行政事務の効率化だけに留まらない効果があると思っています」

田久保

「県庁で行う行政事務の中には、いろいろとアナログな手続きが残っています。そこをどうにか改善したいと考えていました。それを進めるためのきっかけの1つとして、業務改善のワークショップやkintoneの操作研修、利活用相談会を令和5年度の事業として実施しました」

部局全体でDXを推進している「健康福祉部」でワークショップを実施

佐賀県庁で行う行政事務の改善を促進するためのワークショップが、健康福祉部で行われました。

五反田

「健康福祉部では実施する業務の幅が多岐にわたることから、支援などの対象者や、個人情報も含めて取り扱う情報量が非常に多い傾向にあります」

川﨑

「加えて、制度が非常に複雑で、法律や条例に関する確認事項や、ステークホルダーとの過去の個別のやりとりなどを踏まえた上で業務を行う必要があります。これは他部署に比べた健康福祉部の特徴かと思います」

五反田

「また、健康福祉部は、ここ数年、新型コロナウイルス感染症の対応が急務であったことから、感染者数を可視化するシステムや自宅療養者の状況を確認するフォームなど、職員がノーコードツールを活用してシステムを構築し、緊急時対応を乗り越えた経験があります。このような成功事例もあり、健康福祉部では、部局内の業務改善の支援を行う専任職員が令和5年4月から配置され、部局内からの改善相談、解決策の検討、デジタルツールを活用したシステム構築など、伴走支援で改善を進められています。令和5年7月には、〝健康福祉部DXプロジェクト〟を立ち上げられ、〝部局全体としてDXに取り組んでいく〟ことを宣言されたことから、当課としても健康福祉部の取組のサポートができる余地があるのではないかという思いがありました。

健康福祉部は、『人の想いに寄り添う健康福祉部』であるために、現場の声、環境の変化にあった業務改善を実施し、県民満足度や県民サービスの向上につなげたいという想いでDXを推進されています。健康福祉部の業務改善の支援を行う専任職員に頼りすぎるのではなく、部局内の職員自らが改善に必要な知識を習得し、デジタル技術を活用した改善が進めていけるよう、人材育成も目的とした業務改善ワークショップを実施することにしました。」

令和5年の8月と10月の2 回、健康福祉部のみなさんに業務改善ワークショップが実施されました。

五反田

「ワークショップは、業務改善に必要な知識の習得はもちろん、実際に自分が担当している業務の改善を進めるためのアクションプランの立案など、実務で活用できる内容となっており、実施後のアンケートでは、ワークショップの参加者の9割以上が改善活動のプラスになったと答えています。

ワークショップには30名程度の職員が参加しましたが、このワークショップをきっかけに、kintoneはもちろん、Excelなど様々なデジタルツールを活用した改善事案が20以上生まれています」

田久保

「基本的な改善の手法などはワクフリさんにご説明いただき、当課から佐賀県庁で利用できるデジタルツールや実際の改善事例について説明したのですが、ツールでできることを対面でお話しできたことや、参加者がその場で使い方などの疑問をぶつけていただけたことで、より理解が進んだと思います。

一方向ではなく、相互にやり取りすることで、新しく見えてくるものがありましたし、より深く理解いただけることを改めて感じました」

五反田

「ワークショップでは、ワクフリさんが参加者と率直にやり取りできる雰囲気を作っていただき、参加者が具体的な業務フロー図を作成した上で意見交換ができたので、本質的な改善の議論を行うことができました。論点整理がなされた上で改善手法を話し合うことができたため、改善にはどのツールが適しているのか、具体的なツール利活用の話にもスッと入れました」

ワークショップの後にはハンズオン研修を実施。健康福祉部以外の方も参加されました。

五反田

「当課では、『デジタルパートナー制度』という業務の困りごとに関する相談窓口を設けており、相談の中で困りごとの本質的な課題点の整理や『この業務はkintoneがいいよね』とか、『この業務は別のノーコードツールがいいよね』といったツール選定のお手伝いをしています。kintoneで業務改善を進めることになった相談者にはkintoneアカウントを発行しています。

ハンズオン研修は、アカウントを持っている職員の希望者に実施しました。6時間という限られた時間の中で、アプリの作り方などベーシックなことを本当に駆け足でご説明いただきました」

川﨑

「ハンズオン研修では基本的な操作のレクチャーをしていただきましたが、本当に業務改善を進めるためには、ツールの使い方を学んでいただくだけではなく、業務課題の整理はもちろん、業務フロー図の作成が大事だと認識できました。業務フロー図無しでは、どんな業務を行っているのか共通認識が構築できないからです。

我々業務改善の担当者だけがフロー図の作り方を知っていても意味がなくて、担当者自身が作れるようになって、それを我々や上司などが見ながら、課題の整理や解決策の立案をする、というのが業務改善の一番の近道なのではと感じています」

五反田

「実は佐賀県庁でkintoneを業務利用するためには業務フロー図を作成いただく必要があります。アプリの引継ぎをスムーズにするためにも、本番稼働前に業務フロー図を作ってもらうようにしました。業務改善とツールの展開が、業務フロー図の作成により地続きでつながった感があります」

ワークショップやハンズオン研修の後、行政デジタル推進課ではkintone利活用に関する相談会を実施。3回の相談会に延べ12業務の相談がありました。

田久保

「相談会は、これまでワークショップやハンズオン研修に参加した人たちが、自分たちの手で改善を進めていく中で生まれた具体的な疑問点を、ワクフリさんに実際に県庁でぶつけ、解決策を模索する場でした。

kintoneの具体的な使い方はもちろん、将来的な活用方法の可能性をお示しいただくなど、kintone認定アソシエイトの資格を持つ講師ならではの技術的なアドバイスはもちろん、業務の整理の仕方や改善の進め方などもワクフリさんに教えていただくことができ、非常に好評でした」

ワークショップやハンズオン研修、相談会を終えた今後の佐賀県庁の業務改善への展望

令和5年度の事業を終えて、佐賀県庁では、健康福祉部を筆頭に業務改善の機運が高まっています。

これからの展望について、みなさんにお話をうかがいました。

五反田

「『毎週ツール相談会』と称して、毎週火曜日の午後、SAGA CHIKA(県庁の食堂)で、kintoneやExcelといったデジタルツールの使い方がわからない人が気軽に相談できる場を設けており、今後も職員へのフォローを継続していこうと思っています。

我々県庁の業務は法などの制度的な制約が多く、フレキシブルな対応が難しいことも多々ありますが、逆に業務フロー図をしっかり作って改善点を確認していけば、kintoneなどのツールを活用した改善点が明確にしやすいとも言えると思っています。

ただ、業務フロー図の作成ノウハウを身につけてもらうのは結構大変なので、いかに改善文化を県庁内に浸透させていくかが課題だと思います。

我々が持つ知識だけでは全ての職員の悩みにお応えできないこともあります。行政事務の改善を進め、県民サービスの向上を図っていくためには、ワクフリさんをはじめとした様々な方の知見をお借りし、少しでも職員が成長し続けられる環境が必要です。

特に、今後人材確保がより一層厳しくなっていくことを考えると、今いる職員で少しでも業務を改善し、県民サービスを向上させていかなければなりません。そのために有効な手段の1つとして、デジタルツールがあると考えています。

最近、行政事務において『デジタルファースト』という言葉がよく使われますが、その考え方を県庁内に定着させていくことも当課の役割だと思います。

ただ、デジタルファーストを進めたがゆえに県民の方にご不便をおかけするような事態に陥っては本末転倒ですので、行政事務の目的や課題を整理し、県民サービスの向上が図られる形での改善を進めていけたらと考えています」

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