DX内製化の重要性と外注との比較ポイント
目次
DXの推進は、現代企業の競争力を維持・強化するために欠かせないものです。しかし、外部委託では、コストが高額になる上に、最適な人材を確保しづらい課題が生じることがあります。一方、DXを内製化する場合、企業自らが人材を育成し、進化する技術に対応し続ける必要があり、リスクや時間の投資が求められます。
本記事では、DX内製化のメリットとデメリット、成功のためのポイント、実例を交えながらDX内製化の全体像をお伝えします。
DX内製化の重要性
DXの本質的な変革は、外部依存だけでは実現が難しく、企業自身が新たな価値を生み出すための「DX内製化」に注目が集まっています。
DX内製化とは、自社でDXを推進する力や体制を整え、より柔軟かつ持続的にデジタル変革を進めることです。内製化により、自社の特性や課題に応じた最適なDXが可能になり、長期的な競争力の向上につながります。
以下では、DX内製化の重要性について、さらに詳しく解説します。
DX推進の背景
一般的にDX推進の背景には、以下の要因があります。
- 顧客ニーズの多様化
- グローバル競争の激化
- 非接触型ビジネスの需要増加
これらを受け、多くの企業がDXに取り組み始めていますが、外部依存型アプローチではスピードや柔軟性が不足し、自社のニーズに対応しきれないことがよくあります。
企業におけるDX内製化の意義
DXを内製化することで、自社業務プロセスの深い理解に基づく最適なデジタル化が可能になり、イノベーションの源泉となる知識やスキルが社内に蓄積されます。また、市場や顧客の変化にも迅速に対応できるため、持続的な成長を支えます。
DX内製化のメリット
DX内製化のメリットを理解することで、なぜ多くの企業がこれに取り組むのかが明確になります。
コスト削減
一時的な投資が必要なDX内製化ですが、長期的には外部委託費用の削減や、自社内にノウハウを蓄積することで将来的な開発・改善コストを抑えられます。
出典:「チームビューワー、日本企業におけるDX推進に関する意識調査を実施」
2021年・2022年にTeamViewer ジャパン株式会社が実施した調査によれば、デジタル化を推進している製造業の大企業の83.1%、中小企業の60.6%がコスト削減を実感しており、デジタル技術の活用がコスト削減に大きく貢献していることが示されています。
スピード感
内製化は、外部ベンダーに依頼する場合よりも短期間で開発から導入まで進められ、問題が発生した際にも迅速な対応が可能です。
柔軟性
内製化チームは自社業務や文化を理解しているため、最適なソリューションを生み出しやすく、市場環境や顧客ニーズに応じて柔軟に対応できます。
知識蓄積
プロジェクトを通じて得た知見やスキルが社内に蓄積され、次のプロジェクトや社員教育に活用できるため、組織の競争力が高まります。
DX内製化のデメリットと課題
DX内製化には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや課題も存在します。ここでは、DX内製化を進める上で直面する可能性のある主な課題について紹介します。
リソース不足
DX内製化に取り組む上で、必要なスキルを持つ人材の確保が難しく、特に高度な技術を持つ人材は市場競争が激しくなっています。
特に、データサイエンティストやAIエンジニア、クラウドアーキテクトなどの高度な技術者は、市場での需要が高く、獲得競争が激しくなっています。また、既存の社員がこのスキルを短期間で習得するのは容易ではありません。
出典:IPA「DXレポート2023」
独立行政法人情報処理機構(IPA)が2022年度に実施した調査によると、DX推進における人材不足は日本企業で83.5%、アメリカ企業では22.6%と、日本企業が大幅に不足していることが明らかになりました。
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スキルアップの必要性
DX内製化には最新技術の継続的な学習が不可欠であり、既存社員のスキルアップが重要です。しかし、技術の習得には個人差があり、すべての社員が同じペースで成長するわけではありません。
内製化の限界
DX内製化を進める中で、最新のAI技術の導入や、大規模なシステム刷新などは、自社のリソースだけでは対応が難しいケースは少なくありません。高度な専門性が必要な領域や、一時的に大量のリソースが必要なプロジェクトでは、外部パートナーとの協力が不可欠となります。
一方で、外部パートナーへの過度の依存は、コスト増大やノウハウの社内蓄積の妨げになるリスクも孕むものです。そのため、自社の強みを活かしつつ、外部パートナーの専門性も効果的に上手に使う「ハイブリッドアプローチ」によって、内製化と外注のバランスを適切に取ることが重要です。
DX内製化を成功させるポイント
DX内製化においては、単に外部委託をやめて内部で行うだけでは、期待する成果を得られない可能性があります。そこで、DX内製化を効果的に進めるための4つのポイントを紹介します。
適切な人材育成
DX内製化を進める際には、デジタル技術やデータ分析、プロジェクトマネジメントなど、DXに必要なスキルを体系的に学ぶ機会を設けて社内リソースを強化します。この際、外部からDX人材を採用し、社内のデジタル化を加速させることも効果的です。
既存社員のスキルアップと外部人材の活用をバランスよく進めつつ、両者が協力できる環境づくりが、DX内製化の成功につながります。
段階的な内製化の進め方
DX内製化を成功させるには、一気にすべてを内製化するのではなく、段階的なアプローチが効果的です。このアプローチのメリットは、リスクを最小限に抑えつつ、社内のスキルと経験を徐々に蓄積できることです。
各段階で得られた知見を次のステップに活かすことで、より複雑なプロジェクトにも自信を持って取り組むことができます。
テクノロジーの活用
DX内製化を進める際には、自社の課題やニーズに合ったDXツールの選定が不可欠です。効率的かつ効果的なデジタル化を実現するために、ツール選定の際は以下の点に注意してください。
- 自社の業務プロセスとの親和性
- 導入・運用コスト
- スケーラビリティ(将来の拡張性)
- セキュリティ機能
- 従業員でも扱える操作性
また、選定したツールを最大限に活用するために、社内での使用方法の周知や定期的なトレーニングを実施すること、さらには外部ベンダーに教育や研修を依頼することも検討しましょう。
外部リソースとのバランス
DX内製化を進める際には、外部パートナーとの適切な連携を図ることで、より効果的なDX推進を目指してください。この外部パートナーとの連携には、以下のようなメリットがあります。
- 専門知識やスキルを補完できる
- 最新技術トレンドへアクセスできる
- リソース不足時の柔軟な対応を実現できる
- 客観的な視点からのアドバイスを受けられる
自社の強みを活かしつつ、不足している部分を外部パートナーで補完する戦略が、DX内製化の成功につながります。
事例紹介
DX内製化の成功事例を通じて、実践的な効果と課題を具体的に理解することができます。ここでは、ワクフリが行った佐賀県庁とWorkStep株式会社の事例を通じて、DX内製化がどのように組織に変革をもたらしたかを見ていきましょう。
佐賀県庁
佐賀県庁の総務部行政デジタル推進課は、庁内業務の改善を目的にkintoneを導入し、さまざまな取り組みを実施しています。特に、業務改善ワークショップでは職員自らがデジタル技術を活用した改善に必要な知識を習得し、人材育成に焦点を当てています。その結果、以下の成果が得られました。
- 20以上の改善事例が誕生
- 参加者の9割以上が改善活動にプラスと回答
この事例は、組織全体でデジタル化に取り組む姿勢と職員の能力開発を重視したアプローチが、内製化成功の鍵となることを示しています。
work step
WorkStep株式会社は、広島県の「令和5年度女性離転職者等キャリア形成支援に係る企画・運営業務(リスタートプログラム)」を受託し、DXスキルを活用した女性の就労支援に取り組んでいます。プログラムでは、DXの基礎知識やITツールの活用方法を学ぶ機会を提供し、企業視点での人材価値や実際の就労環境についても議論を深めています。
- 9割を超える参加者が「とても参考になった」「参考になった」と回答
- 4名の参加者が在宅勤務での就労を決定
これにより、DXスキルの習得が柔軟な働き方を実現する手段として効果的であることが示されています。
まとめ
DX内製化は、企業の持続的な成長にとって重要な取り組みですが、リソースやスキルの不足が課題となることも少なくありません。内製化によるコスト削減やスピード感は魅力的ですが、全てを自社だけで完結させるのは難しい場合もあります。そこで、適切な外部パートナーとの協力が成功のカギとなります。
株式会社ワクフリは、DX推進における検討段階から導入後のフォローまで、企業の強力なパートナーとなります。ワクフリを活用することで、人材やスキルに関するリソースの問題やコストの課題を効果的に解決できます。社内だけでの取り組みと比較して、ワクフリをパートナーとすることで圧倒的なコストダウンが実現可能です。