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自治体発信のDX講座が子育て世代・女性をリスキリング。働き方を変えるきっかけ作りに成功

Work Step 株式会社

2017年2月24日設立。「子育てしながら、自分らしく働きたい」ママ達をサポートするため、2012年にNPO法人ママワーク研究所を設立。さらに、再就労マッチングまで責任を持つ存在でありたいとグループ会社を2017年1月に立ち上げる。求人サイト「福岡じょしごと」の運営や、企業とママ人財の出会いを促進する「ママドラフト会議」の企画・運営、法人・自治体向けの講演や研修、キャリアコーチとして女性のキャリアステップを伴走サポートする「ワークステップキャリア(有料職業紹介)など、多岐にわたる活動を続けている。

労働者が性別により差別されず、働く女性が母性を尊重されつつ、能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが重要な課題となっています。

「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、いわゆる男女雇用機会均等法など、法整備も進んでいますが、まだまだ、女性の就労には、妊娠・出産・育児休業などを理由にする不利益な取扱いが散見されます。

広島県は、再就職を希望する子育て世代の女性や雇用形態及び業種転換を希望する女性などに対し、キャリアアップセミナーを開催。デジタルスキル習得(リスキリングなど)の意識啓発を図り、さらに、実践を促すことで、成長分野へのキャリアチェンジなどを支援し、希望する労働移動の実現を図る「令和5年度女性離転職者等キャリア形成支援に係る企画・運営業務(通称リスタートプログラム、以下リスタートプログラム)を2023年度に実施しました。

加えて、広島県内の企業などに向けて、女性人材の活用事例を用いたセミナーなど、女性の採用促進を図ることも目的とされました。

Work Step様は、「リスタートプログラム」を受託され、「ガイダンス」、「リスタート準備講座」、「企業とのミートアップイベント」の実施に携われました。

ワクフリも、5回行われた「リスタート準備講座」のうち、第2回「リスキリング啓発講座」、第3回「IT基礎講座」、第4回「ITツール講座」を担当しました。

こちらの講座はどのようなものだったのか、その結果や評価など、Work Stepの代表取締役、田中 彩様と大和田 徹様にお話を伺いました。

DXがなぜ働く女性に必要か? ワクフリが講座を依頼された理由

「リスタートプログラム」には、広島県在住の30〜40歳台の女性を中心に50歳台の方が若干名参加。現在就業中と離職している方がほぼ同比率となりました。

田中

「フレックスな働き方をしたいという女性は、本当に多いんです。コロナ禍で在宅勤務を後押しする企業も増えてきましたし、ITを活用して転職・復職したいという方を、ワクフリさんにサポートしてもらえるのではないかと期待して、講座をお願いしました。

また、ワクフリさんは中小企業の皆さんのDX推進をしていらっしゃるので、そのノウハウも含め、実際にどのような人材が企業に求められるのか、教えて下さるいい機会になればと思いました」

大和田

「IT知識に関しては皆さん、バラバラでしたね。今回の講座はオンラインで、トータル51名のご参加があったのですが、視聴環境は様々で、パソコンで受講された方もいれば、スマートフォンで受講された方もいらっしゃいました」

ITスキル取得だけではなく、働く環境を良くする提案まで考える機会に

「リスタートプログラム」は2023年7月の「ガイダンス」からスタート。「リスタート準備講座」は同年9月の開催を皮切りに、全5回実施。そのうち、ワクフリでは第2回〜4回の計3回を担当しました。

まず、第2回「リスキリング準備講座」では、社員が多様な働き方をしている会社の事例をご紹介し、自分らしく働く環境づくりを認知していただきました。また、テレワークで働くためのスキルなど、自分に必要なスキルが何か? を学ぶ機会となりました。

続く第3回「IT基礎講座」は、DXについて基礎から学び、参加者ご自身に必要なスキルを理解していただきました。加えて実際のサービスも体験。テレワークとはどういったものか、実践を交えながら学ぶ講座でした。

ワクフリが担当する講座の最終回となった第4回「ITツール講座」では、テレワークで利用されることの多い、社内コミュニケーションツール、特にGoogle Workspaceの使い方を学びました。

大和田

「各2時間弱という限られた時間の中で、コンパクトにうまくまとめていただいた印象でした。

また、ワクフリさんから、先進的なものを含めて様々なツールをご紹介いただいたのですが、実際に導入している企業さんがどれくらいあるのか? といった議論を、皆さんしっかりとされていました。理想ばかりを追っているワケじゃなく、自分はどうやって活用するべきか、導入していない企業にどうやって提案したらいいか……そういった内容で議論されているグループもありました。

それは、ワクフリさんが『ツールをご説明していますが、在宅勤務などを実施している企業さんばかりじゃないですよ』と現実をフォローしていただいたからだと思います。机上の空論ではなく、リアルな内容を感じ取っていただき、グループでも共有していただけた講座になったのかな? と思っています」

田中

「IT知識のあまりない女性向けの講座の場合、どうしても具体的なツールの話が中心になりがちなんです。でも、今回の講座では『企業視点で、どういう人材に価値があるのか?』といった、シビアなお話をしていただけて、それが参加された皆さんの視座を高めるためによかったのかな? と思いました。働く側の視点だけではなく、採用する企業目線を知るのは、大事なことだと思います」

参加者の学習意欲は高くグループワークでの議論は白熱

様々な背景を持つ参加者の皆さん。中には、前職でITエンジニアをやっていたという方もいらっしゃれば、パソコンをあまり使ったことがない方もいらっしゃいました。

しかし、ワクフリの各2時間×3回のDX講座で、皆さんの学習意欲は高く、グループワークでは議論が白熱。時間内では収まらないため、途中で中断することもありました。

田中

「グループワークを挟んでいただいたのですが、盛り上がりすぎて(笑) 時間が足りなくなってしまったみたいで、少し回数を絞ってもよかったかもしれないですね」

大和田

「ITツールをそれほど使いこなせていないだろう参加者から、『自分も使えそう』というご意見がありましたし、スキルの高い方からは『企業へどのように提案したらいいか?』といったご意見もありました。皆さん、自分が置いてけぼりにされた……そんな気持ちにならず、自分事としてしっかり受講できたようです。

私自身は実務担当的な参加でしたので、『皆さんのお考えにちゃんと響いているのかな?』と、最初はすごく心配でした。 でも、グループワークですごく熱心に議論していただいていたので、心配は杞憂に終わりました。逆に、今思うとすごく失礼な心配だったなと。皆さんにとって、ITリテラシーは、自分らしく働くために、とても重要なことだったと、改めて思いました。参加者の皆さんの心に、強い火を点けてもらった内容になってよかったです。

ただ、オンラインだとどうしても伝えきれない部分があるかもしれないので、1回くらいは対面ですとか、リアルで講座できれば、さらに違った雰囲気になったかもしれないですね」

田中

「Google Workspaceを使った具体的な講座が、参加者に好評だったようなので、今後は『kintoneでこんなこともできるんだよ』といった内容の講座があれば、ニーズがあるんじゃないかな? と思いました。

また、kintoneを導入している企業の皆さんとコラボをする形で、ミートアップイベントを実施できればいいなぁと思っています。ツールベースで出会いを作れれば嬉しいです」

参加者は総じて講座をポジティブに認識。自治体からも高評価を得る

「リスタートプログラム」は、5回の講座を終え、最後に、広島県内の企業と参加者が出会う「ミートアップイベント」を行い、全てのプログラムを終了しました。

「リスタート準備講座」を受講した参加者の感想とはいかなるものか? Work Step様に伺いました。

大和田

「受講後にアンケートをいただいたのですが、皆さんが『参考になった』とか『受けて良かった』『最近使用されているツールを学べて良かった』というポジティブな感想をお持ちになったようです」

田中

「参加者の9割を超える方から『とても参考になった』『参考になった』という、ご回答をいただきました。今回の「リスタート準備講座」に多くの学びが詰まっていた、そう認識いただいたのではないかな? と思っています」

「リスタートプログラム」は、DXによる業務改善や働き方改革を参加者に考えさせるきっかけとなったようです。

一方、事業とした広島県はどのような感想を持たれたのか、こちらもWork Stepの田中様、大和田様に伺いました。

大和田

「説明会となるガイダンスを開催させていただいたのですが、県のご担当者の目標では100名くらいのお申し込みがあれば……と思われていたのですが、160名に近いご応募をいただきました。

広島県内の女性のITリスキルがどれくらいかといった情報や、柔軟な働き方のできる企業に向けた就職・転職への注目・潜在的なニーズがかなり高いことがわかりました。

また、受講された参加者の皆さんに、2023年11月、企業さんとのミートアップイベントへご参加いただきました。

集大成としてのミートアップイベントへ皆さんから積極的に参加いただき、企業の方にも集まっていただき、メディアの皆さんにも取材いただき、県の概算ではかなりの宣伝効果にもなって、想定していたよりいい内容だったんじゃないか、そんなお話もいただいています。

また、各講座に県のご担当者も実際にご参加いただき、「非常に良い内容だったんじゃないでしょうか」というお褒めの言葉もいただいています」

田中

「ITリスキルに関して、我々が関わる広島県での講座は、初年度になります。なので、ほかに比べてというのはわからないですが、私の把握しているところでは4名の方が在宅勤務での就労を決定していらっしゃるそうです」

DX講座の先に見えてきた課題

再就職を希望する子育て世代の女性や雇用形態及び業種転換を希望する女性などに向けて実施した「リスタートプログラム」。

参加者や企業からの好評に加え、広島県からも高評を博して無事終了した本プログラムですが、DX講座の先に見えてきた課題もあります。広島県に限らず、地方都市の企業の多くは、在宅勤務が可能ではない、そんな厳しい現実があるのです。

最後に、企業の働き方改革もサポートするWork Step様に、今後の課題について話をお聞きしました。

田中

「これからは、ITスキルがもっと注目されると思います。女性たちからのニーズは相当高いですね。ただ、DXを初めとした業務改革により、柔軟な働き方を採られる中小企業はまだ少ないです。

ワクフリさんが講座でご紹介してくれたのですが、DXに成功している企業が意外と少ないことに驚きました。『こんなに失敗してるの?』って。

在宅勤務の可能な企業が本当に少ないんです。事務系でも出社ベースですし。企業の皆さんが働き方をもう一度考えていただくという、願いは常にありますが、働き方改革を広げるといった観点では、まだまだ課題は多いと思います」

大和田

「実際の就職活動ですぐに転職が決まった方もいましたし、広島県には就職・転職を希望される優秀な女性が多いので、働き方への意識が変われば、相互のニーズがマッチするのではないかと期待しています。

今回参加された受講者は本当に優秀な方が多かったので、ミートアップに参加された企業の皆さんが働き方を変えることで、優れた人材を採用できるという気づきをお持ち帰りいただけたら、少しずつ変わっていくかもしれないと思っています」

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