DX推進とは?|社内でのDXの進め方や事例を踏まえて解説!
目次
DXの推進は、企業が競争力を維持しつつ持続的な成長をするために必要不可欠です。しかしその実現には、明確な戦略の確立や人材育成など一筋縄ではいきません。
そこで本記事では、DXの推進が必要な背景から具体的な課題や成功させるポイントを解説します。また、実際の成功事例についても紹介しております。ぜひご参考ください。
そもそもDXとは?
DXとは、企業や組織がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセス、企業文化を根本から変革し、新たな価値を創造することです。
経済産業省では、以下の定義として取り扱われています。
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
出典:総務省「デジタル・トランスフォーメーションの定義」より
DXにおける変革は、単にITシステムを最新のものに置き換えるという表層的なものではありません。デジタル技術を駆使して業務の効率化、顧客体験の向上、新しいサービスやビジネスモデルの開発など、組織全体の革新を目指すものです。
DX推進が必要な背景
DX推進が必要な背景には、以下の2つが挙げられます。
- 「2025年の崖」問題
- 人手不足問題
1.「2025年の崖」問題
出典:経済産業省「DXレポート」をもとに作成
「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」内で2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生まれることを問題提起したものです。
この「2025年の崖」では、主に以下3つの課題を挙げています。
・IT人材の不足
・レガシー化の拡大
・保守、運用費の増加
問題1. IT人材の不足
DXレポートによると、急速なテクノロジーの進化や、基幹系システムを担う人材の高齢化や退職の影響を受け、2025年にIT人材の不足が約43万人まで拡大すると言われています。
また、経済産業省の「IT人材供給に関する調査」でも同様に、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると推測されています。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」より
即戦力を求めて、IT人材の中途採用を検討する企業も多いですが、下図の「職種別 doda転職求人倍率の推移」を見てもわかるように、エンジニア(IT・通信)の求人倍率は年々右肩上がりで人材獲得競争が激化しているため、社内に適任者を育成することも重要です。
出典:doda「転職求人倍率レポート(2024年2月)」より
問題2. レガシー化の拡大
2025年には、構築から21年以上経つ基幹系システムが6割を超え、レガシーシステムの存在が顕著になります。
しかしながら、旧システムを担う人材の退職や高齢化により、レガシーシステムに対応できる人材が不足することで業務のブラックボックス化が生じ、下記のようなリスクを抱えることになります。
・大規模なシステム障害
・最新システムと互換性がないことによる技術的進歩の停滞
・セキュリティの脆弱性や法改正への未適用
問題3. 保守、運用費の増加
企業のIT予算の90%以上が保守運用予算に費やされ、研究開発や業務効率化の予算が捻出できなくなると予想されています。
また、短期的な観点でシステムの開発を試みると、長期的に保守費や運用費が高騰し、新規投資やイノベーションへの資金不足及び組織の競争力低下や業績への悪影響を引き起こします。
2.人手不足問題
次に、パーソル総合研究所と中央大学経済学部の阿部正浩教授が共同開発した「予測モデル」によって判明した人手不足の問題が挙げられます。
出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」をもとに作成
同推計においては、2030年に予想される7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」となることが分かっています。
- 高齢化と人口の減少
- 特定産業の人手不足
- 労働市場の条件や賃金による制約
などを筆頭に、多数の要因が関係して引き起こされるものです。IT人材の不足にとどまらず、労働人口そのものが不足してしまえば、人材の確保も厳しくなります。その対策の一環として、生産性を高めて人材だけに依存しない組織づくりとしても、DX推進が求められます。
日本企業のDX推進状況
では、日本企業のDX推進における状況はどうなっているのでしょうか。以下の2つに分けて、現状を確認しましょう。
- DXを推進する企業は増加傾向
- 約4割の企業はDX推進の効果が出ていない
2021年に示された「一般社団法人日本能率協会の調査結果」に基づいて説明します。
DXを推進する企業は増加傾向
日本企業におけるDX推進の状況は、増加傾向にあります。
まず、年度別の取り組み状況の変化を見ると、2020年から2021年にかけて、既に取り組みを始めている企業の割合が28.9%から45.3%へと大幅に増加しています。
出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題 2021」をもとに作成
一方で、企業規模別の取り組み状況を見ると、全体の45.3%が既にDXに取り組みを始めており、その中でも大企業は65.6%と最も高い割合を示しています。企業規模が小さくなるにつれて取り組みの割合は低下しますが、それでも4分の1以上の中小企業がDXに着手している状態です。
出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題 2021」をもとに作成
今後もこの傾向は続くと考えられ、企業にとってDXの推進は避けて通れないと言えるでしょう。
約4割の企業はDX推進の効果が出ていない
DXの推進が行われている一方で、企業の約4割がDXの効果を感じていないという現実も浮き彫りになっています。
出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題 2021」をもとに作成
もちろん、DXが全く効果をもたらさないという極端な状況は少ないものです。しかし、同時に多くの企業がDXの成果を実感できていないという課題を抱えていることも明らかにしています。
DX推進を阻む5つの課題
DX推進を阻む課題には、以下の5つが挙げられます。
- 経営戦略やロードマップの設計
- 社内関係部署の連携
- 経営資源の確保
- 企業文化・風土の確立
- DX人材の採用と育成
下グラフのとおり、2021年に示された「一般社団法人日本能率協会の調査結果」に基づいて解説します。
出典:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題 2021」をもとに作成
課題1.経営戦略やロードマップの設計
まず、DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていないことを課題とする企業が見逃せません。
全体の37.6%(「おおいに課題である」6.8%、「課題である」30.8%)では、DXを成功させるための方向性が定まっていないと予想されます。
そのため、DX推進では経営層が明確なビジョンを持ち、それを具体的な行動計画に落とし込むことが求められます。
課題2.社内関係部署の連携
社内関係部署の連携が十分にできていないとの回答は、23.5%(「おおいに課題である」2.1%、「課題である」21.4%)と、社外に限らず、社内関係部署での連携が課題視されています。
DX推進には、部署間の情報共有や協力体制の構築が不可欠であり、組織横断的なプロジェクトチームの設置なども必須課題となります。
課題3.経営資源の確保
次の課題が、経営資源の確保です。経営資源の投入が十分にできていないと感じている企業は29.9%(「おおいに課題である」4.7%、「課題である」25.2%)に上ります。
このことから、DXに必要な投資となる資金や人的リソースが不足している現状も浮き彫りとなっていると言えます。長期的な視点でのリソース配分や、投資対効果を見極めることが大切です。
課題4.企業文化・風土の確立
企業文化や風土がDXを推進する上での障壁となっているケースも見受けられます。DX推進には、変化を受け入れる柔軟性や、新しい技術への積極的な姿勢が必要です。
しかし、一度築き上げてきた組織で、新たな方法や考え方などを根付かせるには時間がかかります。そのため、DX推進担当者は、強いリーダーシップと、社内の意見を汲み取り調整するコミュニケーション能力も必要です。
課題5.DX人材の採用と育成
データによると、DX推進に関わる人材の不足を課題として感じている企業も多くいます。特に「おおいに課題である」と回答した企業が20.1%、「課題である」と回答した企業が41.0%にも上るほどです。
このことから、DXを推進する上でデジタルスキルを持つ人材の採用と、既存の社員のスキルアップが急務であると言えます。
DX推進を成功に導く4つの要素
前述の5つの課題を抱えるDX推進において、どのような手法を選択すれば成功に繋がるのでしょうか。今回は以下4つの要素で解説いたします。
- 業務設計
- デジタルツール最適化
- 組織設計
- 人材育成
1.業務設計
まず、「業務設計」です。DXを推進する際には、既存の業務プロセスを根本から見直して、再設計することが重要です。
例えば、業務の自動化や効率化を図るためのプロセスマッピングなどです。社内外に跨る業務フローの可視化を通じて、分断されている / 非効率なオペレーションになっている部分がないか、現状の分析を行います。また、その現状を踏まえて、最適な業務フローを共に検討・設計していきます。
ワクフリでは、お客様の業務内容と従業員様に合わせて、最適なDX導入を支援します。業務設計を適切に行い、全体最適を実現する業務フローを構築します。
2.デジタルツール最適化
次にDX推進に必要なのが、「デジタルツールの最適化」です。市場には多種多様なデジタルツールが存在し、それぞれが異なる機能を持っています。そのため、企業は自社のニーズに合ったツールを選定し、最大限に活用することが求められます。
まず、再設計した業務プロセスを踏まえ、最適なデジタルツールの新規導入・開発や、既存導入済みのツールの運用見直しを行いましょう。いずれも個別に分断させず、全体最適の観点からデジタルツールが機能しやすい設計を行うことが大切です。
また、ツールの選定にあたっては、コストだけでなく、導入後の運用や拡張性も考慮する必要があります。
3.組織設計
デジタル化によって生まれる新しいビジネスモデルやサービスに対応するためには、柔軟かつ迅速に動ける組織体制も考慮する必要があります。
例えば、意思決定の迅速化や権限の分散、異なる部門や業務分野からメンバーを集めたチーム形成などです。また、業務プロセスを属人化させず、組織として遂行できる実現可能な組織体制を模索・設計します。組織内の変動や欠員にも対応しうる体制を目指せるとさらに良いでしょう。
4.人材育成
DX推進を中長期的に成功させるためには、社内状況や市場ニーズにあわせて取り組みを変革し、継続することが重要です。そのためには、従業員に対してデジタルスキルの教育を提供するなど、DX推進及び変革の担い手となる人材を育成することが重要です。
ワクフリでは、定期的な社内ワークショップの企画・開催や、DXに関する基本的知識から実践的な方法まで、幅広く触れられる実践型のDX研修を行っております。
ワクフリのDX成功事例
ここからは、900社以上の支援実績を持つ弊社ワクフリにおけるDXの成功事例を2つをご紹介します。
- 伝統ある呉服事業の業務改革
- 経営管理インフラのDX推進
ぜひ、具体的なイメージを掴む際の参考にしてください。
1.伝統ある呉服事業の業務改革
まず、伝統ある呉服事業を手がける株式会社エムラ様の事例です。本事例では、業務改革の支援と、スモールスタートから始めるというアプローチによってDXに成功しています。
エムラ様は、創業以来90年以上の長きにわたり、地域のお客様に愛され続ける中で、社員の高齢化が進み、各店舗と本部スタッフとの情報伝達や連携が非効率化しました。
また、アナログな作業は業務速度の低下を招き、顧客満足度を下げることもあったそうです。さらに、高齢社員が多く、新たなシステムの導入にも不安を抱えておられました。
そこでワクフリでは、ゆっくりとしたペースで行う「スモールスタート」によるDX推進をご提案。その結果、エムラは楽楽精算というシステムを導入し、経費申請の流れを大幅に改善しました。ワクフリで業務マニュアルの作成と、店舗での楽楽精算のレクチャーも行ったことで、現在でも新たな仕組みをきちんと運用できています。
2.経営管理インフラのDX推進
次に挙げるのが、税理士法人アイユーコンサルティング様の事例です。本事例では、各拠点とバックオフィスを結び、経営管理を全体最適する独自のシステムを構築し、DXの推進に成功しています。
同社は、急速な成長とともに、スタッフの人数が増え、複数の拠点を持つ中でデータが拡散。結果、経営管理に向けた情報を集めるまでの非効率さが目立つ、という課題を抱えていました。
そこでワクフリでは、ヒアリングによる現場業務の可視化と課題の抽出から改善プランを作成しました。システムの開発中には、スタッフからのフィードバックも収集しています。そして、各拠点の情報フローを整備し、バックオフィス側の改革も行いました。
最終的に、いつでも見たい時に最新の正確な情報を確認できるようになり、経営管理インフラのDX推進によって、経営判断の迅速化と効率化を実現しています。
DX推進ならワクフリにご相談
DXの推進は、企業にとって必要不可欠な取り組みです。そして、その成功は企業の持続的な成長と競争力の向上にも直結します。
しかし、その道のりは困難で、多くの企業が人材不足、戦略の明確化、内部連携、資源の確保、企業文化の確立といった課題に直面しているのが現状です。
当社ワクフリでは、貴社に必要なDX人材を確保し、DX推進チームを設置することで、圧倒的なコストダウンを実現しながら、DXプロジェクトの推進をサポートいたします。
DX推進のご相談は、ぜひ900社以上の企業への支援実績を持つワクフリまでお気軽にお問い合わせください。