新人研修を「課題解決研修」へと進化。医療機器メーカー総務課の業務改革
新人研修内で「課題解決研修」を企画し、改革に挑んだ医療機器メーカーがあります。
そのプロジェクトにワクフリが協力。総務担当者と共に、新人研修の改革を目指した研修のあり方を探りました。
なぜ、同社では改革を必要としたのでしょうか? 研修を実施された、医療機器メーカーの管理部総務課のIさんに、お話をうかがいました。
医療機器メーカーの工場として設立12年。管理面でのDXと研修の改革が課題に
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医療機器メーカーがBCP(事業継続計画)を踏まえて工場を分散。その戦略的生産拠点として稼働した工場があります。
その管理部総務課のIさんは、12年の時を経て、同社に課題が生じていたと説明してくれました。
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「設立から12年が経ち、工場の規模が段々と大きくなっていく中で、生産技術を確実に培ってきた自負はあるのですが、その一方で管理面のDXがやや遅れているのかな? という課題感が個人的にありました。そんな中で、知見を広げたいという想いもあって、2023年10月に開催された『DXPO福岡』イベントに参加しました。
当時はまだ、どのブースに行きたいという具体的な考えまではなかったのですが、ブースをいろいろ拝見させていただく中で、ワクフリさんにお声をかけていただきました。コンサルティングなど様々な業務を行う会社だというのは、その時に知ったんですけれど、弊社ではDXのコンサルを受けるまでは行かず、まずは研修にご協力いただきたいと考えました」
高卒対象者と大学/院卒対象者それぞれに「課題解決研修」を実施
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Iさんは早速、次の新人研修の準備をワクフリと始めました。そして、高卒対象のみなさんが35名、大/院卒対象のみなさんが22名で、それぞれ、「研修2時間」、「ケーススタディ」、「中間発表(高)/各チームレポートへのFB(大/院)」、「発表FB」とした、課題解決の研修が行われました。
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「今までマナーや工場の知識だったり、『社会人とは何か?』といった内容の新人研修は行ってきました。しかし、具体的に課題を解決していく、そのノウハウの部分を新人に教えられていなかったと感じていました。そんな、弊社のニーズとワクフリさんのDXや課題解決といった知見が、うまくマッチするかなと思いました。
そこで、『こういった研修をやりたいんです』と弊社の希望をお伝えしたところ、『はい、できますよ』と即答していただけた。そこから、いろいろ話し合う中で『課題解決研修』というテーマが出来上がっていった感じです。
結論から申し上げると、新人研修にはとても満足しています。同じことをずっと繰り返すわけでもなく、レベル感もちょうど良かったなと思いますし、より実践的なところもありました。また、高校を卒業したばかりの新人にも、大学や大学院を卒業した新人にも、自分事として受け入れやすい内容を組んでいただけたと思っています。
『ロジカルシンキング』『ヒアリング』『ファシリテーション』と研修が進み、最後に新人たちの課題発表がありました。自分たちで考えて学んだことを活かしながら、プレゼンテーションを組んでいくというのが、本人たちにとってもすごく身になったと思いますし、実際、そういった反響もたくさんありました。彼らも満足していると思います。
最後の発表を含めて、研修が進む中で新人に積極性が出てきましたね。『人前に立つことができて、いい経験になった』と言う新人もいて、成長を実感できました」
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受講された新人のみなさんは、高校卒業から大学院卒まで様々でした。中には課題が簡単だった方もいれば、難しかったという方も、研修後のアンケートからうかがえました。
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「新人のアンケートでは、今回の研修をよく理解できたという割合がほとんどでした。中には内容が難しいといった声がありましたが、新人をよりレベルアップするという狙いもありますので、簡単な話ばかりでも仕方が無い。結果として、いいバランスであったと思っています。
コミュニケーション力については個人差がありますね。学校でもリーダーシップを発揮していたような新人が、うまくチームをまとめて、お互いに声をかけ合ったり、そんな姿が見られて良かったと思いました。
学習内容や理解度を合わせることは難しいと思いますが、コミュニケーションについては、苦手な子に寄り添ってくれている新人もいて、そんな様子を見ると研修担当としてもすごく嬉しく思いました。研修の中で関係を深めていって、お互いを知っていくことの大切さに気付けたと思いますし、その経験は、今後の仕事にも役に立つと思っています」
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研修の最後には、高卒対象のみなさんと、大学や大学院を卒業したみなさんそれぞに分かれて、課題発表が行われました。
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「中にはうまく発表できずに悔しかったみたいなアンケートもあり、『すごい! 成長志向だ』と感心しました。今回は、弊社が抱える課題に対して、解決するための提案を考えてもらいました。折角、一生懸命考えてもらったので、優秀な企画については、ぜひ実現させてあげたいですね。
また、今回研修で用いた課題解決シートは、タスクの洗い出しやアクションプランなど細かく設定していただき、私自身も日々の業務でこのような作業をすれば、漏れや抜けがなく進められるかな? と思いましたし、新人にとっても役立つアイテムであったと思います」
新人研修の成果をどのようにして実務へつなげるか
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新人のみなさんの印象に残った研修内容は、プレゼン発表と言う意見が9割ぐらいになりました。この高いモチベーションを普段の業務へどのようにつなげていくのか? Iさんにうかがいました。
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「以前は、半年後フォローアップ研修をやっていました。本社主体で全グループが一緒になって行っていたのですが、今は諸事情により実施できていません。しかし、フォローアップは必要な部分だと思いますし、今回、新人が考えてくれたことを先々につなげられるような内容にして、二次研修や三次研修といったことをやっていけたらいいなとは思っています。
今回の新人研修は、我々からのメッセージとして『課題解決』と言っていますが、いろいろなところにアンテナを張って、自分から興味を持ちどんどん改善して、業務をより良いものにしてもらいたいという思いがあったので、それは理解してもらえたのかなと思っています。
また、今回は新入社員に向けて研修を行いましたが、いざ、それぞれの部署に行ってみたら、課題解決ができていないとなっては良くないですね。
新人研修は時間が取れることもあり、今回のような課題解決の研修を行えましたが、職場のメンバーに同じ内容を実施となると、なかなか難しいと思うんです。だからといって、2、3時間の座学だけではあまり効果がないと思いますし、やらされ感にもつながります。
現場のメンバーにどうやってアプローチし、いかに意識を変えていってもらうかという課題の解決は、これからの人材育成を考える中で、大事なことですね。今回、新人研修を私自身が見ていて、強く思ったところです」
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新入社員のみなさんは今回の研修を体験し、課題解決に向けた具体的な考え方とは何か? を学べたことでしょう。
そして、現場でその学びを実践していきながら、必要なスキルを修得。新入社員のみなさんが組織改善を加速させる原動力となり、同社のさらなる飛躍を率先していく……そんな未来に期待しましょう。