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DX研修で事務職員に意識改革!少子化時代を経営改善で乗り越える学校法人の挑戦

学校法人 永原学園

1946年に開学。〝健康と福祉の探究〟を目標に、保育園や幼稚園、専門学校に短期大学、そして佐賀県で唯一の4年制私立大学、西九州大学を擁する、総合教育ネットワークを展開。

現在、学校法人を取り巻く経営環境は、少子化や18歳人口の減少などの影響により厳しさを増しています。そして、大学や短大をはじめとした事務職員には、高い職務遂行能力が求められています。

そこで、学校法人 永原学園様では、事務職員の皆さま向けのDX研修を実施。その経緯と研修後の成果、未来への展望について、同学園の法人本部長の志岐様と、総務課長の松本様にお話を伺いました。

ITインフラ整備は進むも組織のデジタル化が進まない…業務構造・組織の壁と直面

志岐

「本学園では、3年前にIT基盤の整備に向けてIT関係を専任とする事務職員を採用しました。そして、情報ネットワークや情報システムの整備を始めたのですが、インフラの整備に留まっており、デジタル技術を活用して組織やビジネスモデルを変革するところまでは踏み込めていませんでした」

松本

「教員や事務職員それぞれの働き方や状況が異なる部分もあって、デジタル化は進んでいませんでした」

そこで、永原学園様も時代に対応するため、様々な研修を行っていましたが、学園全体にかかる成果を得るには至りませんでした。

志岐

「本学園では、教員や事務職員を対象とするSD研修会を、大学・短大部や法人本部が主催となって、毎年度、数回実施しています。しかし、財務や人事評価を除けば、体系的な研修にはなっていなかったのです。
そこで、事務職員を対象とした研修について、過去ご協力をいただいていた、佐賀県産業技術学院へご相談したところ、DXをテーマとした、助成制度が活用できる研修を紹介されたため、ワクフリさんのDX研修を受講することになりました」

実践型DX研修が、学園に必要な「DX」を考える機会に

体系的な研修ができていなかったという、永原学園様。そこで、2023年秋にワクフリが実施したDX研修は、4日間に渡りDXを深掘りする、密度の濃いものとなりました。

初日はDXの基礎研修。2日目は業務整理を行う中で業務フロー図を作成。ワークショップも2回実施しました。そして、3日目は3回のワークショップを中心に、ロジカルシンキングの考え方を研修。最終日となる4日目は、業務改善のアイデアをワークショップの中で作成するという、実務に結びついた研修内容でした。

志岐

「複数回、同じテーマを深掘りしていく研修がなかったので、初めて受講した事務職員は『今までとは違う』という感想を持ったようです。大きなテーマはDXでしたが、毎回毎回、小さなテーマをもって受講する。そして、合間に仕事を挟んでまた研修を受けるという繰り返しは今まで無かったと思うので、画期的なことだったのではないでしょうか。
そして、4日間かけて行ったため、『ああ、DXって本当に必要なんだなあ』と、参加者が、主催者側の意向を理解してくれたんじゃないかと考えています。

松本

「ワークショップが多く、課題解決で話し合う機会が多かったのが印象的でした。どうしても、日程の関係で全部受講できなくて残念だった、そんな声もありましたので、オンラインで受講したり、自分たちだけで研修できれば、より充実したものになったかなと思います。
そして、普段は別々のところで働いている事務職員が集まって話し合えたのは、大きかったと思います。今回の研修を、単にデジタル技術を活用するというハウツーの修得だけでなく、グループワークを通じて、現場に即した取り組みをしていかなければならないと思っています。」

また、今回行った永原学園様の研修は、ITツールや他大学の取り組みなど、具体的な事例紹介も重視した内容になっており、実務を強く意識した研修となりました。

志岐

「研修の中で具体的なITツールや他大学での取組事例などをご紹介いただいたのですが、若い事務職員を中心に刺激を受けたのは、研修での大きな成果のひとつだと思います。
そして、『学校法人がDXに取り組まないリスクがある』というお話がありました。1つは業務コストの上昇。2つ目は業務の質の低下。そして3つ目として競争力の低下です。
今後、DXに取り組まない学校法人は学生を確保できず、経営に直結して地盤沈下を招きかねない、そんな印象を受けました。我々にはズシリと響くものがありました」

松本

「ただ、他の大学のやり方を真似するのではなく、本学園の事情に合わせ、例えば、大学と幼稚園では働き方が違いますので、それぞれに適したDXを考えていかなければならない……そう思っています」

40件近い業務改善提案に。組織変革の手応え

密度の濃い研修を受講したことで、永原学園の事務職員の皆さまには、日々の業務を改善する意識が形作られたといいます。

志岐

「4日間の研修の最終日に、業務改善提案制度をスタートしました。その結果、2か月間の募集で39件の提案がありました。募集するまでは、『本学園の体質として、業務改善の声が挙がらないのではないか』と思っていたのですが、『そんな事はない、みんなちゃんと考えているんだな』と、安心しましたし、大きな成果だったと思います。
提案内容はDXによる業務改善・業務改革であり、組織変革のためには業務改善・業務改革が必要であるというマインドを、事務職員の中で醸成できたことの表れではないかと考えています」

松本

「今までは、部門間を越えた話し合いができていなかったと、痛感しました。教員や事務職員みな、考えている課題は同じなんだな、そう思いました。
そして、慣習となっていた業務を言葉に表すことで、改めて自分たちの業務課題を認識できたことは新鮮でした。これは研修だけに留まらず、毎日の業務の中で、改善すべき点などを意識していくことが重要なんじゃないかと思っています」

志岐

「一方で、提案のない事務職員もいましたので、研修は一度で終わらせるのではなく、二度、三度と続けていかないといけないかな? と課題も残ったと感じています。ただし、今回の研修を通して『今のままではいけない』と、事務職員に危機感を持ってもらえたのではないかと思っています」

今後の経営のカギは一貫性ある人材投資。部分最適や前例踏襲からの文化を変革

DX研修を終え、業務改善提案制度が実務に反映された永原学園様ですが、さらに業務改善を進めるために必要な人材像も見えてきました。

志岐

「業務改善提案制度を提案止まりにしてしまうのは良くないので、改革できるものは着実に改革していきたい、お互いにちゃんとキャッチボールできるような、風通しの良い職場にしていかなければならないと思います。
それから、DXをはじめとした研修を、やったりやらなかったりといった一貫性のないものにせず、継続的に整備していかなければいけないと思っています。例えば、管理職を育成するような研修が、今まではなかったんですね。そういった研修も、並行してやっていかなければならないと思っています。
また、本学園のDXを進めるため、技術面に取り組めるスタッフが数名必要じゃないかと思っています。そのメンバーを中心に開発したシステムの使い方や活用方法などを、全事務職員、あるいは教員と、研修を通じて共有していく必要があると思っています。やはり、核になる人材がいないとDXはなかなか進まないと思います。
そして、関係する部署間で必要な情報共有や意思疎通がなされず、タテ割りで業務していることは、本学園の組織運営上の大きな課題の1つだと思います。自分の関わる部署だけではなく、学園全体を見通して考える必要があります。部分最適ではなく全体最適を目指せる、そんな意識を高めていかなければいけないと思っています。

松本

「本学園では人件費が経営負担の中に、大きな割合を占めています。DXを進める中で働き方を改革し、コストを減らすことも、今後は考えていかなければならないんじゃないか、そう思っています」

学校経営の環境は、社会の行く末と共に常に変化します。伝統ある永原学園にも変化をうながす、大きなうねりとなっています。

開学から80年、そして100年を目指す同学園の未来はどうなっていくのでしょうか? 最後に将来への展望を伺いました。

志岐

「DXだけではなく、学園を取り巻く環境が厳しくなってきています。令和6年には新しい組織として『デジタル社会共創学環』を立ち上げますし、令和9年4月に向けて、新学部の開設も計画しています。そうなると新しい仕事が増えていきますが、今の事務職員を増やさず業務をこなしていくためには、仕事の効率を高め、生産性を上げていく業務改革が必須です。
ただし、多くの事務職員の中には〝前例踏襲主義〟という考えが根強く残っています。今後は、DXを駆使するなど仕事のやり方を変えて、もっとチャレンジしていかなければならないと思っています。
 現在、理事長が旗振り役となり『仕事の量をとにかく減らして、新しい業務に取り組んでいこう』と、全教職員に向けて働きかけています。DX研修を行ったことが、今後の本学園の業務改革に対して、強い推進力になってくれれば。そう願っています。
そして、自分の部署だけではなく、全体を牽引していけるような人材が、若い事務職員の中から出てきてくれれば、本学園の将来は明るいのではないかと考えています」

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